ドライクリーニングは、1830年頃にフランスで開発され、水で洗うと型崩れや縮み、色落ちなどが発生する衣類を水の変わりに有機溶剤を使うことによって衣類への影響を抑えた洗濯方法です。そもそもドライクリーニングは家庭にはありませんので分からないのが普通だと思いますが、ドライクリーニングとは水を使わずに「有機溶剤」を使用するクリーニングの事を言います。
有機溶剤???
聞きなれない言葉が出てきたので、余計に難しくなった方もあると思います。そこで分かりやすく説明すると、私達が日常生活で目にする有機溶剤と言えば「石油」や「灯油」、「ガソリン」などが当てはまります。いわば、その石油とか灯油のような溶剤で衣類を洗うのがドライクリーニングというわけです。でも実際は、衣類をガソリンや灯油で洗うわけにはいかないので、クリーニング専用の溶剤で洗っています。(分かりやすいように、ガソリンなどの名前を例に出しました)
ところで何故、「水」ではなく、「溶剤」で洗う必要があるのかと言えば、水洗いのOKな素材の場合は問題ありませんが、ウールの背広やレーヨンのブラウスなどは、普通に水で洗ったりすると縮んだり、型崩れしたりしまうからです。
そこでドライクリーニングは、衣類を縮めたり、型崩れをさせないように生まれた洗濯方法なのです。
例えば、家庭の洗濯でポケットにティッシュをうっかり入れたまま洗うとティッシュはボロボロになりますね。ところがドライクリーニングで同じ事をしてしまっても、ティッシュはキレイな状態のままです。つまりドライクリーニングは衣類に優しい洗いなのです。 |
私達が一般的に目にする右ののマークは、「ドライ溶剤の中で石油系の溶剤を使用して洗う事が出来る」という意味になります。もちろんドライクリーニングだけでなく水洗いが出来る場合もありますので、「水洗い」が出来るかどうか、それも洗濯表示の確認をするようにしましょう。 |
時々、「私は家でドライクリーニングをしてる!」って方がいますが、それは根本的な勘違いをされています。ご家庭では、ドライクリーニングはできません。 何故なら家庭での洗濯は、水で洗うしか洗濯方法がないからです。一般に販売している「ドライ衣料用の洗剤」は、水で洗っても型崩れや縮みなどを出来るだけ起こりにくくするように工夫した洗剤であって、決してドライクリーニングではありません。 |
ドライクリーニングとは、もう一度説明すると、水ではなく有機溶剤で洗うものを言います。もし「私は家でドライクリーニングをしてる!」と言う方がある場合、それは「ドライマークが洗える洗剤を使って水洗いしてる」と言うのが正しいです。
ドライクリーニング(有機溶剤によるクリーニング)は、油性の汚れには適していますが、逆に水溶性の汚れなどには基本的には不向きです。だからもし汗をかいてしまった場合など(汗は水溶性の汚れ)、ドライクリーニングよりも水洗いが適した適した洗い方と言えます。クリーニングに出す場合で受付の方がドライクリーニングで洗うと言われた場合は、「汗抜き」などウエットのコースで依頼するのがベストです。
※ウエットクリーニングとは?
【クリーニング店がウエットを勧める理由】 日本各地に数多くのクリーニング店があるので、一概には言えませんが、一般論で言うなれば、クリーニング屋さんは洗濯のプロです。その洗濯のプロが汗をかく季節に、水洗いを勧めて来るのは当然の事。逆に夏場などに水洗いを勧めない店は、受付スタッフがクリーニングの洗いを理解していない、全くの素人と言う可能性もあります。 例えば、「ウエット」であったり「ダブル洗い」であったり、呼び方はクリーニング屋さんによって様々ですが、やっぱりドライクリーニングでは水溶性の汗汚れは完全に落ち切れません。汗の汚れは透明で目に見えませんが、時間の経過と共に酸化して黄ばみ・変色の原因となります。汗かく季節は、ドライクリーニングではなく、プラス料金がかかっても水洗い(ウエット)がおすすめです。 |
ドライクリーニングの長所は!?
あまり目には見えませんが、衣類には油汚れがとっても多いのです。その油汚れとは、どんなものが当てはまるのかと言えば、人間の体から出る皮脂汚れであったり、また排気ガスにも大気の汚れから油汚れが含まれていますので、目に見えなくても日々着用している衣類はけっこう汚れているものなのです。
ドライクリーニングは油汚れを落としてくれます。更には水にも油にも溶けないススなどの「不溶性粒子」は、油脂がボンドの役割を果たし衣類に吸着していますが、油汚れを溶かすことによって、これらの不溶性粒子もキレイにする事が出きるのです。
ドライクリーニングで ススやホコリもスッキリ! |
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そしてドライクリーニングは水に弱い素材を洗う事が出来、また何より衣類の型崩れ起こさず洗えると言う大きな長所があります。つまり衣類にとっても優しい洗い方が出来るのです。仮に家庭洗濯で「ドライマークを洗える洗剤」を使っても、ウール品などは「つけ置き」などの手洗いで洗いますが、ドライクリーニングでは、機械力(遠心力)をかけられるので型崩れを起こさずに、より汚れが落ちやすくなると言うメリットもあります。
ドライクリーニングも水洗いも、洗い方にはそれぞれ長所・短所がありますが、やっぱり知っている方が大切な衣類が長持ちさせる事が出来やすくなるので、その特徴については知っていて損はないと言えるでしょう。
クリーニング屋さんでよく耳にする「ドライクリーニング」と言う言葉。このドライクリーニングとは水ではなく、有機溶剤で洗うクリーニングの事を言いますが、この有機溶剤って、どのように管理しているか知っていますか?
※ドライクリーニングに関しては → 「ドライクリーニングって何?」を参考に!
ご家庭で洗濯する場合は、洗濯に使用した汚れた水は排水し捨て、また次に洗濯する場合には当然新しい水を使って洗いますね。ところがドライクリーニングで使用した溶剤は水と同じように排水してしまうと、排水汚染になるので捨てることが出来ません。 |
それなら・・・ 「ドライクリーニングの溶剤は汚れた溶剤を何回も使いまわして、洗っているの!」とビックリする方もいるかも知れませんが、そのような心配はありません。きちんと汚れを取り除き、ろ過して再利用して洗っているんですよ!
一般的にドライクリーニングでは、溶剤に溶けた汚れをフィルターでろ過し汚れを取り除き、溶剤をきれいにし循環させて洗っています。だからキレイな溶剤で衣類を洗っているのです。だから排水しないからと言って特に心配する事ではありません。 ただし気をつけないといけないのは、ドライクリーニング溶剤の汚れを取るフィルターは、永久的ではなく洗濯回数がかさむと汚れを取る能力が悪くなってきますので、定期的にフィルターを交換する必要があります。 残念なのは、この部分を怠ってるクリーニング店が世の中に存在していると言う事実です。 |
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フィルターの断面 |
クリーニング店の中には、蒸留装置と呼ばれる機械を設置することで、汚れたドライ溶剤を自動的にキレイにする設備を導入している場合もあります。これは、汚れたドライ溶剤に熱を加え気化させ、気化したガスを冷却することによって、きれいなドライ溶剤に再生させる!そんな装置になります。
ドライクリーニングはろ過してキレイな液で洗っているから大丈夫!と思いたいですが、もし肝心のフィルターなどを交換しないでいると、ドライクリーニング溶剤が汚れてしまいます。汚れたドライクリーニング溶剤で、衣類を洗うと逆汚染(再汚染)や異臭が発生しますので、このような状態にならないようにするために、ドライクリーニング溶剤の管理が重要になります。これは重大な責務です。
溶剤管理とは、ドライ洗浄で使用する溶剤が汚れていないかをチェックし、いつもきれいな溶剤で洗えるように管理していることですが、溶剤管理は、むずかしく大変な手間とコストがかかりますので、クリーニング店によってドライ溶剤管理を徹底しているお店とできていないお店に分かれるのが現実です。この管理をしていないクリーニング店は悪質と言っても過言ではありません。例えば、下の写真を見てください。
本来であれば「左の写真」のよううなキレイな溶剤で衣類を洗います。 しかし、怠慢で悪質なクリーニング店は「右の写真」のような汚れた溶剤で洗ってる事があります。このような溶剤で洗った衣類は当然ですがキレイになりません。逆により汚れて戻ってきてしまう可能性すらあります。 |
ナチュラルクリーンでは
人、環境、衣類に配慮して「シリコーンドライクリーニング」を使用しています。
ナチュラルクリーンでは、シリコーン溶剤を用いたドライクリーニングを行っています。このシリコーンは、浸透性や潤滑性を増すために化粧品にも使用されている素材で、化粧品に使われているくらいですから、安全性は高いです。クリーニングに使用すると、生地の滑りがよくなり、艶感も出て、しっとりとした仕上がりになります。ですから、ウールやカシミヤなど、表面のしなやかさを求める素材では、水洗いとシリコーンドライを組み合わせることで、汗などの水溶性の汚れを落とし、しっとりとした仕上がりが得られます。
また、麻のように強い張り感がほしい素材の場合には、シリコーンドライでは仕上がりが柔らかすぎるため、最後に水で洗う時に糊剤を用いて張り感を出します。また、シリコーン溶剤は、皮膚への刺激が少なく、自然界に出ても分解されやすいため、人体や環境にやさしいクリーニング溶剤ということができます。