シルク・絹について
シルク(絹)は、かいこの幼虫が口から連続して吐出してつくった繭から採取されます。
家内で桑葉を与えて飼育するかいこの繭から取った家蚕絹と、山野で野生植物の葉を食べて生育する野生的な繭から取った野蚕絹の2種類のシルク(絹)あります。
シルク(絹)は、天然繊維では唯一の長繊維(フェラメント)で1個の繭は、600~1100メートルの長さがあります。
繊維は三角断面の2本の「フィブロイン」と、ニカワ質の「セリシン」で構成され、精錬によりセリシンを除去することで、シルク(絹)本来の光沢と風合いが得られます。
シルクの生地は三角形の繊維の形がきれいに並んで、光が強く反射されて、独特の光沢感が現れます。
「シルクの特徴と問題点」
シルク(絹)は、毛よりも軽く、美しい光沢、優雅な感触、美しい染色性、すぐれた保温力があり、着物などの和装品やドレス、ブラウス、スカーフ、ネクタイ、肌着などに使用されています。
しかし、シルク(絹)は、着用していると知らず知らずのうちに擦れて毛羽立ち、ひどくなると布地が破けてしまいます。
これは、シルクが上の図のようにミクロフィブリルという細い繊維が集まってフィブリルとなり、このフィブリルが集まってフィブロインとなるという構造になっているため、摩擦によって糸の表面が裂けると、中のフィブリルが飛び出して(フィブリル化)、毛羽立ちになります。
シルク生地の拡大写真
摩擦されてフィブリル化した生地
また、染色が極めて弱く、汗や日光などで脱色をおこしやすく、かびが発生や虫食いの害を受け、日光などで黄変します。
汗や紫外線で黄変したシルクブラウスなどは、漂白して黄変を取りますが、シルクは動物性繊維で、タンパク質で構成されているため、アルカリ性の漂白剤を使うと生地が傷んでしまいます。使えるのは酸性か中性の漂白剤で、液体の酸素系漂白剤は使用できます。
洗う時も水の中で激しく動かして摩擦されると、表面が擦れて艶が無くなります。そっと手で押し洗いして、脱水も薄いものなら10秒程度で最短にして、シワを防ぎます。