アクリル繊維
アクリルはどんな素材?
アクリルは絵具や板、衣服などジャンルの違ういろいろなところに使われます。
アクリル絵具、アクリル板という言葉は聞いたことあるのではないでしょうか。
「アクリル」はアクリル樹脂やアクリル繊維の略称で、アクリル樹脂はアクリルと絵具や板に、アクリル繊維は衣服に使われています。
アクリルの原料
繊維には天然繊維と合成繊維があります。
天然繊維は天然の素材を使って繊維にしたもの、合成繊維は化学的に合成された繊維のことです。
アクリル繊維は合成繊維。
原料は石油のアクリロニトリルで樹脂から繊維をつくります。
原料を液状にして小さな孔から圧力をかけて押し出し、糸の形状がつくられ、その糸から生地ができあがっていくわけです。
合成繊維は何かしらの天然繊維に近づけてつくられるものが多く、アクリル繊維は「羊毛」に似せてつくられています。
ウールに近いアクリル
アクリル繊維は、人工的にウールに近い風合いにしたもので、ふっくらとした柔らかさと暖かさがあります。
この特徴から、セーターなどのニットアイテムやマフラー、毛布などによく使われます。
ウールは羊の毛。羊の毛から糸をつくることでふわふわになるんですよね。
ウールのふわふわは繊維の中に空気がたくさん含まれているからなんです。
柔らかい風合いと暖かさを実現するには空気をたくさん含ませることが必要で、アクリルは人工的にこの機能を持たせています。
空気をたくさん含むように加工した糸がバルキー糸(嵩高加工糸)というもの。
このバルキー糸が羊の毛のようになり、ウールのような風合いに仕上げられます
バルキー糸
バルキー糸は収縮させる繊維と収縮しない繊維を混ぜて、繊維の間に空気を含ませた糸のこと。
バルキーは英語でbulky、「かさばった、分厚い」という意味。
繊維がかさばるためバルキー糸とよばれるんですね。
そしてこのバルキー糸によって生地をつくるとふんわりした柔らかい風合いを出すことができます。
アクリルの長所・短所
アクリルの長所は、保温性、強度・耐久性が高いこと。虫に食われにくく、シワにもなりにくいです。
また、色が付きやすいことも長所で、様々な色の製品を作ることができます。
短所は毛玉ができやすく、静電気が起きやすい。そして熱に弱いことです。
静電気が起こるとホコリがつきやすくなります。きれいな状態を保つためには定期的なお手入れは必須。
熱を加えると縮んでしまうので、洗濯後の乾燥機は使わず陰干しがおすすめです。
また、吸水性・吸湿性があまりなく、水を吸ってくれません。
調味料が服につくのをある程度弾いてくれたり、乾きが早いというメリットがありますが、汗を吸ってくれないとベタつきやすいというデメリットもあります。
内側の水分はなかなか放出されないので、一度汗をかいてしまうと長時間ベタベタしたまま過ごすことになることも。
アクリルとウールの違い
見た目や感触、機能も似ているアクリルとウールですがもちろん違いもあります。
暖かさはウールに劣るアクリルですが、それでも保温性は高く、ウールのデメリットがカバーされている部分もあります。
価格が安い
価格を抑えられるのはアクリル。天然繊維のウールは価格が高くなりやすいです。フェイクファーとよばれるものはほとんどアクリルでつくられます。
丈夫で長持ち
ウールは天然繊維のため、虫食いやカビが発生してしまうことも。価格の割に長持ちしない、なんてことも珍しくありません。そのため価格の割に長持ちしないことが問題点としてあります。
アクリルのような合成繊維は丈夫さや耐久性が自慢の素材。アクリルにはその心配は無用です。
発色が良い
ウールよりアクリルの方が色が入りやすくきれいに染色できます。デザイン性の高いアイテム、鮮やか色合いが好きな方はアクリル素材の方が、好みのアイテムが見つけやすいと思います。
アクリルとウールどちらがいい?
風合いがよく似ているアクリルとウールですが、どちらにもメリット・デメリットがあります。価格が安いのはアクリルなので、手が届きやすいと思います。
ウールは価格は高くなりますが、天然繊維ならではの魅力があります。
価格は安く抑えたい!
購入した後の手入れが面倒くさくない方がいい、
汗かきだから吸湿性は絶対に欲しい!
などといった、自分のこだわりによって選び方は変わるはず。
それぞれの特性の違いを知って、自分に合ったものを選んでいきましょう。
アクリル繊維の洗濯
アクリルはデリケートな衣服に使用されることが多いので、少し気にしてお手入れしましょう。
洗剤はおしゃれ着用の中性洗剤、洗濯コースは手洗いコースなどの優しい感じで洗ってくれるものにします。
アクリルは毛玉ができやすいもの。毛玉は他の衣類との摩擦によってできてしまうので、裏返して洗濯ネットに入れて洗いましょう。丸めるようにして入れることで、より毛玉を防げます。
また洗濯ネットに入れることで生地が伸びてしまうのを防ぐこともできます。
縮む性質があり、冷たい水で洗うと縮んでしまいます。30°Cくらいのぬるま湯がおすすめです。
乾きやすいので、脱水は短めに。
汚れがひどい時には中性洗剤をつけ、軽く叩いて汚れを浮かせて洗濯します。
ゴシゴシこすったりすると生地を傷めてしまうので注意です。
アイロンは低温でかけます。