コロナ禍で、外出が少なくなった人たちの大きな悩みの一つが、
クローゼットの中に仕舞いこんでいた洋服やレザーアイテム等の
カビ被害です。
このカビ被害防止は、とにかくカビが生えないように、まず、洋服
でもレザーアイテムでも汚れを取って衛生的にキレイにしてから保
管すること。
カビの胞子はどこにでもあるため、カビの栄養になるものがあると、
そこで繁殖して広がり始めるというわけです。
クリーニングに入荷してくる衣類を見ても、首周りの汚れたところ
から生え始めているものが圧倒的に多いので、首回りの汗や皮脂汚
れを落とし、キレイに洗ってから仕舞っておかないと、必ずカビの
餌食にな~ります。
そして、保管中は置いたままにせず、マメにカビが生えていないかを
チェックすること。
表面に薄く生え始めたところで見つければブラッシングや洗いで取れ
ますし、臭いが残ることもありません。
時間が経ってカビが根を張ってしまうと、染色が変化してカビのある
部分は色が抜けてしまうため、カビを取っても、その跡が点々として
色抜けして残り、これを直すには染色補正が必要になります。
大変な数の色抜けを一つ一つ直すことになりますから費用も嵩みます。
また、更にカビが繁殖して深く根を張ると、染料の生地への定着が弱く
なって、洗うと全体に色が抜けて色ムラになる場合が多々あります。
このごろ多いのはベージュ系の綿のコートに、全体にカビが茶色く点々
と生えているもので、カビのスヱったような独特な臭いもキツイため、
漂白に漬け込んで臭いと共にカビを取っていきます。
ところが、この時に染色が弱くなってしまっていると大きく気持ち悪い
色ムラがポチポチ一杯出来てしまいます。
これは、カビだけではなく色ヤケの場合も同様で、染色が劣化した商品
を洗うことで全体に色ムラが発生することはよく起こります。
ですから、そうした商品を扱う時は、プロは全体を洗う前に、部分的に
試してみて染色の状態をチェックする必要がありますし、フロントや担
当者は品物を預かる時は「カビの場合は染色が劣化しているので、洗い
ますと色ムラになる危険性もあるんですよ~。このことはご了承下さい
ねえ~」と、脱色が起こりえるということを、お客さんには絶対話して
おく必要があります。
色ムラになってしまった時の対処法は、元色より濃い目の色に全体を
染める方法もありますが、大掛かりになります。
こういった色ムラコートをつい最近柿渋風に染め変えたばかりです。
これはこれで出来上がったら、「おおっ、逆にけっこうよかったじ
ゃん!!」と思えるオリジナリティある渋さが出て、「なるほど、
こういうやり方の復元もありか」と、「災い転じて福と成す復元手
法」を見つけてしまいましたが、一般的には大切なベージュ系のコー
トは色ムラになる前にマメにチェックし、早くカビを見つけて除去
するのが先決です。
まあ、そのためには季節の変わり目には必ずウォータークリーニング
に出して、しっかり消臭・抗菌加工してもらって、ナチュラルクリー
ンの「温度や湿度管理、除菌抗菌システムのナチュラルクローゼット
でしっかり安心保管してもらっときなはれやぁ~」、というのがオチです。
とにかくカビ跡は小さなクレーターみたいな跡が残って消えませんの
で、ホンマの事言ってえげつなく気持ち悪いですから・・・・。