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「修復続き」7/16(火)
「80年前のお母様が作られたペンケースの復元」

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●依頼者  
S様


●依頼品 
 80年前にお母様が作られたペンケース。(花柄)
 お嬢様が譲り受ける上で奇麗にしてお母様に
お見せしたいと伊勢丹新宿店メ ンズ館ウォータ
ークリーニングにお持ち頂きました。


●担当者  
日本橋三越本店・伊勢丹新宿店メンズ館
関東地区エリアマネージャー  廣瀬智子

●所見   
テーマは
「80年前の生地や刺繍を傷めず思い出の時を蘇らせる」
80年という時の流れの中で、手作りペンケースの生地が
酸化され薄茶色に変色しています。

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シリコーンドライ(油性)の手洗いによって全体の薄汚れは
除去できますが、見た目には20%程度の変化しかありま
せん。

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全体を水洗いして水溶性の汚れ等を落としていきたいの
ですが、刺繍糸の色 がにじみ出る恐れが多分にあり、生
地ににじみ出た場合は、もはやアウトです。
     
完璧な復元を目指すのであるならば、全部解いてもう一度
仕立て直しすることが一番なのですが、そうすると、お母
様が一針、一針、心を込めて縫い上げた思いが、無くなっ
て別物になってしまいます。

20190717d

    
従って、思考を繰り返した結果、刺繍の周りを、1センチずつ、
シミ抜き、部分漂白を繰り返し、慎重に進んでいくという、とて
も忍耐のいる作業しかないと判断しました。

そして、最後に色合わせ→染色補正することで8割は奇麗に
なり80年前の当時のペンケースに一番近い状態で復元でき
ます。

20190717e
     
また、口止めスナップの所の緑青の錆を落とし磨いていくこと
で85〜90%美しさを取り戻すこともできます。

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今回のテーマの「生地や刺繍を傷めず思い出の時を蘇らせる」
ために、ただ綺麗にするのだけではなく、何をし、何をしてはい
けないかという繊細かつ大胆な判断が必要となります。最大限
の注意を払い、時間をかけた復元を行って参ります。
         

●見積金額 
復元率 85〜95% 見積金額 32.000円(消費税込み 34.560円)

●修復復元内容   
基本料金5.000円→部分漂白5.000円→全体シミ抜き5.000円
色合わせと染色補正 17.000円 

●修復復元期間   
約3か月間


安っぽい親切の押し付けではなく、自身の感じた気持ちに
正直に生きていくとこうなっていきます。自然ですね、これが。

15:19, Tuesday, Jul 16, 2019 ¦ 固定リンク ¦ コメント(0) ¦ コメントを書く ¦ トラックバック(0) ¦ 携帯

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