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「事故事例から学ぶ」1月9日(金)
今日の早朝は5時より「クリーニングと繊維」を基本から学ぶ
早朝勉強会の第2回目です。


やはりこういった勉強会は必要ですね。
分かったつもりでいるけど、お客様により分かりやすく説明し
ようとすると知識だけでもダメ。経験だけでもダメ。その両方
プラス、対機説法能力というか、お客様が求めているものを
感じ取ってお伝えしていかないと、自己満足や一方通行に陥
りやすい。


このあたりは実践を踏むしかありませんが、その前にどうして
も押さえておかなければならないのが、こういった基礎知識で
す。


さて、今回の内容は、「事故事例から学ぶ」です。


実際のクリーニング現場での事故事例を写真で見ながら、その
原因と対処について意見を出し合い話し合いました。


今日はその事例の中からよくある3例をご紹介します。
(3例とも、「改訂 よくわかるクリーニング教本」より抜粋)


[事例1]スチーム仕上げでプリーツが伸びたポリエステル
スカート


P1060920

ポリエステル100%のスカートをドライクリーニング後、スチ
ームを使って仕上げたため、プリーツが伸びてしまった例。


合成繊維は、熱をかけて柔らかくなった状態でシワを作り、
それを冷ますとシワが固定されるという熱可塑性という性質
を利用してプリーツ加工がされています。


そのため、スチームの熱のために、固定されたプリーツが
取れてしまったものです。

P1060921
熱のためにプリーツが取れてしまうことは起こりやすく、仕
上げの時のスチームだけでなく、洗った後にタンブラー乾
燥で取れたり、静止乾燥機の熱風にあおられて取れること
などもあります。


そして、熱可塑性という性質は、熱がかかってできたシワは
取れにくいということにも繋がって、ポリエステルの白いブラ
ウスを漂白する時に温度が高すぎると、シワが取れなくなる
こともあります。


[事例2]汗の残留で色があせた紳士ジャケット

P1060922
麻100%のグレーのジャケットが、衿や袖の一部が緑色に
変色した例。


この変色は汗と紫外線による変色です。


夏物のジャケットにはどうしても汗が付着しますから、その
汗と紫外線との複合作用で変色が起こることはよくあります。

P1060923
入荷時にわずかな変色を見逃さないことも大切ですし、汗を
残さないようにクリーニングすることが必要で、完全に汗を取
るにはやはり水洗いをしないと無理なのです。


[事例]羽毛が偏ったロングコート

P1060924


表地、裏地ともにポリエステルが100%のダウンコート(ダ
ウン70%、フェザー30%)。


羽毛が偏って固まってしまい、ぜんたいてきに均一にふっく
らした状態ではなく、羽毛が分散されて固まり、羽毛のない
ところも出来てしまった状態。


羽毛の量が少なめのダウンコートで、乾燥方法を誤ると、偏
りや乾かない部分が出来てしまいます。


内袋のダウンのシールに穴があいてダウンが移動してしまう
など、製品自体に問題がある場合もありますが、乾燥が不十
分でダウンが膨らみ切らないままだと、このように偏った状態
になります。


生地にコーティングをしてあり、水や溶剤が通り抜けにくいも
のは通常の脱水だけでは水分が取れず、乾燥機でも乾かな
くてダウンが固まったままになります。


脱水が終わっても重いものは水分が取りきれていないため、
裏返して再度脱水して、十分に水分を切ってから乾燥します。

P1060925
と、一般的なお勉強です。まずは受付時の説明がとっても大切
だということなのです。


まずはここをしっかり押さえた上で僕たちはもし何かあったら裏
ワザを使って様々な問題解決をしていきます。


事故の原因には、作業ミスや知識や経験不足や傲慢さなどのク
リーニングに携わる人の問題が大きいです。が、取扱い表示や
組成表示が間違っていて、表示通りに扱ったらトラブルが発生し
たという場合もあります。


また素材の強度や染色がクリーニングに耐えられないという商品
も実際にあります。しかし、どんな商品でも、衣類である以上、清
潔にしたり、シミや汚れを取っ足り、色修正してなんとか着用した
いという要望がお客様にはあるわけです。


商品に問題があるからとそれを断るだけでなく、何か出来る方法
を探し出して、その商品に最適な方法でデザインやディテールを
崩さないように美しく復元していく。それはうちの使命だと思って
仕事に取り組んでいます。


だから難易度の高い復元ほど、それを探求、研鑚、実践すること
の繰り返しで、ナチュラルクリーンの技術は年々進化進展してき
ましたし、お客様からの支持も得られてきたのだと思います。


考えてみれば、地域のシェア48パーセントを取って7年連続一店
舗売上日本一を達成していた高級ドライクリーニングの超優良企
業だったわけです。あのままの状態であれば、いろんな販促を打
ちながらも年商5億前後で地域一番店として、イオンあたりに出店
しながら本当に普通の儲かってるドライクリーニング会社としてや
っていたんだと思います。


ただ、そうであれば伊勢丹メンズ館にも日本橋三越本店にも、ま
してや全国から品物が続々と送られてくることはまずなかったで
しょう。そしてアパレルも、セレクトも、テーラーさんともご縁はなか
ったでしょう。そうだとワクワクしないので僕も、全国から集まって
きたスタッフたちも当然この場にはいないです。


石油系溶剤の影響で、社長の唇が痺れ出したのをきっかけに、
本気で環境や自身や従業員の体のことを考えた末に、ドライから
水洗いへ思い切った転換をした。しかし水洗いがどうしょうもできな
いぐらい上手くいかない。水洗いを学ぶ場所もない。そこからです
ね、研鑚の日々が始まったのは。


そして、社長が10年前に脳梗塞で倒れ、僕が社長代行という大役
を仰せつかり、クリーニングのことは右も左もわからないままこの世
界に飛び込んできたわけですが、それをきっかけに今いる主力スタ
ッフたちが集まったり、今までいたスタッフたちが力をつけて育ち始
めました。


「努力は人を裏切らない」という言葉は本当だと思います。10年前
まったくど素人だったこの僕が、単身赴任でクリーニング現場を踏み
続け、今ではなんだかんだと少しは人に技術や知識を教えていける
ようになったわけです。


そのためには、社長のやまっちがやってきたことを一度チャラにして、
仏教でいう中道の精神を大切にやってきたわけです。中道とは偏ら
ない、こだわらない、とらわれないということ。つまりバランス感覚です
ね。ドライオンリーから水洗いオンリー。そして中道の精神に戻って、
ドライと水洗いの良さプラス、ケアの概念を入れての再出発でした。


とにかく分からないところは、その道の一流のプロに聞けばいいと、
本当に一からクリーニングや繊維のことを学ばせてもらいました。
学んだ技術は実践する。それから朝練のような早朝5時からの技術
研鑚の日々が今でも続いているわけです。不器用だから誠実に謙虚
に人一倍努力するしかないです。それと服は昔から好きだった。何で
も好きこそものの・・・ですね。


ただ、今でもそうなんですがお寺の住職がクリーニング会社の代
表代行を任せされているといっても「・・・・・?????」みたいな
反応ばかりです。大きなお寺の法務員を務めている長男が、「お
寺さんにいっても理解できんじゃろう。」と言ってましたが、クリー
ニング業界の人に言ってもまず理解できないと思います。


僕は大学を出て24歳から34歳までの10年間、生涯学習センターの
主任社会教育主事としてやってきました。一般的にお寺の住職で
それならお寺の人も分かる。クリーニング業界の人もわかる。
だけど「はあ?クリーニング?????」まったく意味が、やる理由が分か
らないみたいです。


理屈じゃないですね、人間の運命ってすべて縁次第なのです。
その縁を素直にま受けできるかどうか?


それと人は何をやっているのではない。誰とやっているかなんです。
ここが料理屋だっら僕は料理屋をやってるし、観光会社だったら観
光会社をやっている。そんなことよりも、どういう人たちとそれをやる
かが問題なんです。


有難いことに山田夫婦という以心伝心で分かり合える法友と出遇え
たということ。そして「志」に共鳴共感してくれるうちのスタッフたち、
法友と共に本気で仕事に打ち込めるということ、これがすべてと言
っていいです。そうじゃないと、ムリです。僕の性格て゛は特に。


まあ、60歳の法子さんが最低でも後15年の75までは現役でレデ
ィスプレスをやり続けると言ってましたが、僕が75というと後17年
かあ・・・、現役で洗い場と染み抜きをやりながら、ここのリーダー
としてジジイやババアたちと、いつまでたっても年寄りの青春グ
ラフティを「うっしゃ!!」と、頑張っていこうと思っています。とにかく
この世を去る時には「ああ、面白かったぁ・・」と言って死んでいきた
いので。


ということは、まだまだハナタレ小僧ですね。うちのブレスの中川さ
ん78歳現役バリバリですから。ジジイ、ババアになるほど技術が
円熟度を増して、やれるってえのがいいねえ、この仕事は。空手道
の型みたいで、いいです。今日は随分昔の事を思い出していました。



生かしていただいて ありがとうございます。

10:32, Friday, Jan 09, 2015 ¦ 固定リンク ¦ コメント(0) ¦ コメントを書く ¦ トラックバック(0) ¦ 携帯

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