「量販店スーツの水洗い」1/8(木)
ナチュラルクリーン(株)には二つの部門があります。
一つは地元対象の一般衣類のウォータークリーニング「リーガル部門」。
そしてもう一つは全国対象のこだわり高級衣類のウォータークリーニン
グ「ナチュラルクリーン部門」。
朝一の洗いは、まず地元「リーガル部門」のスーツ洗いから入ります。
で、いつも地元のスーツの洗いで思うのは「ほんまに戦闘服やなあ・・」
です。
とにかく日々着込んでるって感じで、一見キレイに見えても(蒸気をか
けて臭いを嗅いだらウッ・・スゴイ!ですよ)ジャケットもパンツも汗等
でとっても汚れています。
スーツやコートなどの汚れの多くは、煤煙等のように空気中の汚れが
衣類に付着した油溶性の汚れで、汚れ全体の60%~80%といわれてい
ます。
そして汗などの水溶性の汚れが約30%。
さらに、カーボンや泥、チリ、ホコリ、タンパク質などの不溶性の汚れが
残りの10%程度です。
リーガルクリーニングで受け付けるスーツの半数以上はコナカやアオヤ
マやスーツカンパニーを始めとする量販店のもので、毎日仕事で着用さ
れる戦闘服状態のものですから、汚れはかなり蓄積しているのです。
これらの汚れをきれいにするためには、まず、襟・袖口・脇・ポケット回り
等の汚れを染み抜き剤で前処理します。そして全般的に汚れの一番外
側を覆っている油性の汚れをドライクリーニングで落とします。但し、
ドライ溶剤の蒸留装置で常にドライ溶剤をキレイにしておかないと、逆
汚染(逆に汚れが付着して汚れる)してしまうという、キレイにするための
クリーニングで逆に汚れるといった、なんともおかしなことになってしまい
ます。
とにかく油性の汚れ、皮脂汚れは油で落とすのが一番です。
ドライクリーニングは油性の溶剤を使って洗うので、油性の汚れ、とくに
皮脂汚れには最適の洗い方です。洗浄工程は、汚れの程度に合わせて
5~10分の洗い後、脱液してから静止乾燥機でしっかり乾かします。
そして、油性の汚れが取れた後に残っている汗等の水溶性の汚れは、
水洗いで落とします。汗は、皮脂とか、蛋白質とか、アンモニアとか、塩分
などで構成されているのですが、皮脂を除くアンモニアや塩分は、水洗い
じゃないと落ちません。このアンモニアや塩分が衣類に残っているとどう
いう臭いになるのか?
僕は高校、大学と空手部だったのですが、部活の時に着替えのために
入った瞬間臭ってくる部室のあの異臭。そこまででなくても、物理的には
汗が衣類に多量に残ってそのまま放置しているということは、言い換えて
みればスーツが歩く部室、みたいな。
だからね、僕は正直言っていつも思うのです。戦闘服状態で着まくった
スーツを水洗いしないってことは、メチャクチャばばっちい状態なのに
・・・と。ドライ洗浄後でとても表面的にはキレイに見えるスーツでも、蒸
気をかけると、たちまちウッとなんと言えないすえった臭いがします。
これは汗の成分であるアンモニアや蛋白質が落ちてないからです。
高校、大学と学ランを着用し、ドライと汗の臭いが嫌でいつも自分で水
洗いしてプレスしていた僕にとっては、実は水洗いなしでは考えられま
せん。
さて、うちの水洗いはもはやご承知の方が多いいですか゛、地下400メ
―トルから汲み上げた天然水をクラスタルウォーター発生装置という機
械を通し、水洗いのクラスタルウォーター洗浄水として使用しています。
洗いは、そのクラスタルウォーター洗浄水に、マイクロバブルを加えて
より衣類の洗浄力を増し、できるだけ繊維やディテールを優しく扱うため
に「揺り籠で赤ちゃんをあやすように」最小限の機械力でゆっくりゆっくり
ゆらして洗っていきます。このマイクロバブルと揺り籠洗いが3分、濯ぎ
が2分を2回、そして脱水です。
洗剤はオーガニック協会が推薦している中性の消臭抗菌用洗剤を使用
しています。尚且つ、洗浄後のジャケットは人体成型乾燥機の乾燥時に
再度消臭抗菌剤をジャケットの裏表に噴霧して、本来のキレイで清潔な
状態に戻していきます。
とまあ、早朝一発、こういうスーツ洗いの作業を行います。地元が終わ
れば、全国からのブランドスーツです。正直言って、地元のスーツと比べ
ると汚れは雲泥の差。やはり高額なスーツは丁寧に几帳面に着用されて
いる方が多いので、臭いもなく本音を言ってとっても気分が楽です。
ブランドスーツの場合は、ドライ→水洗い→シリコーンと三段階の工程を
踏んでいきます。また、スーツがとてもキレイな状態や、ディテールやデ
ザイン性を重視する場合は、逆に水洗いはストップして衿、袖口、脇、
ポケット回りの汗や手垢が付着している部位をスポッター(蒸気)でマメに
汗抜き等をしていき、シリコーンに入れていきます。当然、消臭抗菌も行
います。そしてあれだけの手間をかけてのプレス・・・、多くのテーラーさん
たちが見学に来られて必ず言われる言葉、「ここまでやって、これじゃあ
安すぎません?」です。現場を見られたら、アパレル、セレクト、お客様に
関わらず、誰もが必ずおっしゃる言葉です。
ということで、ここでは手間暇かける分だけ時間が宝。さて、洗い場から
呼びに来ましたので現場に戻ります。仕事の合間をみはからっては、
ブログ打ってますんで、誤字脱字ありましたらごめんなさいね。
生かしていただいて ありがとうございます。
一つは地元対象の一般衣類のウォータークリーニング「リーガル部門」。
そしてもう一つは全国対象のこだわり高級衣類のウォータークリーニン
グ「ナチュラルクリーン部門」。
朝一の洗いは、まず地元「リーガル部門」のスーツ洗いから入ります。
で、いつも地元のスーツの洗いで思うのは「ほんまに戦闘服やなあ・・」
です。
とにかく日々着込んでるって感じで、一見キレイに見えても(蒸気をか
けて臭いを嗅いだらウッ・・スゴイ!ですよ)ジャケットもパンツも汗等
でとっても汚れています。
スーツやコートなどの汚れの多くは、煤煙等のように空気中の汚れが
衣類に付着した油溶性の汚れで、汚れ全体の60%~80%といわれてい
ます。
そして汗などの水溶性の汚れが約30%。
さらに、カーボンや泥、チリ、ホコリ、タンパク質などの不溶性の汚れが
残りの10%程度です。
リーガルクリーニングで受け付けるスーツの半数以上はコナカやアオヤ
マやスーツカンパニーを始めとする量販店のもので、毎日仕事で着用さ
れる戦闘服状態のものですから、汚れはかなり蓄積しているのです。
これらの汚れをきれいにするためには、まず、襟・袖口・脇・ポケット回り
等の汚れを染み抜き剤で前処理します。そして全般的に汚れの一番外
側を覆っている油性の汚れをドライクリーニングで落とします。但し、
ドライ溶剤の蒸留装置で常にドライ溶剤をキレイにしておかないと、逆
汚染(逆に汚れが付着して汚れる)してしまうという、キレイにするための
クリーニングで逆に汚れるといった、なんともおかしなことになってしまい
ます。
とにかく油性の汚れ、皮脂汚れは油で落とすのが一番です。
ドライクリーニングは油性の溶剤を使って洗うので、油性の汚れ、とくに
皮脂汚れには最適の洗い方です。洗浄工程は、汚れの程度に合わせて
5~10分の洗い後、脱液してから静止乾燥機でしっかり乾かします。
そして、油性の汚れが取れた後に残っている汗等の水溶性の汚れは、
水洗いで落とします。汗は、皮脂とか、蛋白質とか、アンモニアとか、塩分
などで構成されているのですが、皮脂を除くアンモニアや塩分は、水洗い
じゃないと落ちません。このアンモニアや塩分が衣類に残っているとどう
いう臭いになるのか?
僕は高校、大学と空手部だったのですが、部活の時に着替えのために
入った瞬間臭ってくる部室のあの異臭。そこまででなくても、物理的には
汗が衣類に多量に残ってそのまま放置しているということは、言い換えて
みればスーツが歩く部室、みたいな。
だからね、僕は正直言っていつも思うのです。戦闘服状態で着まくった
スーツを水洗いしないってことは、メチャクチャばばっちい状態なのに
・・・と。ドライ洗浄後でとても表面的にはキレイに見えるスーツでも、蒸
気をかけると、たちまちウッとなんと言えないすえった臭いがします。
これは汗の成分であるアンモニアや蛋白質が落ちてないからです。
高校、大学と学ランを着用し、ドライと汗の臭いが嫌でいつも自分で水
洗いしてプレスしていた僕にとっては、実は水洗いなしでは考えられま
せん。
さて、うちの水洗いはもはやご承知の方が多いいですか゛、地下400メ
―トルから汲み上げた天然水をクラスタルウォーター発生装置という機
械を通し、水洗いのクラスタルウォーター洗浄水として使用しています。
洗いは、そのクラスタルウォーター洗浄水に、マイクロバブルを加えて
より衣類の洗浄力を増し、できるだけ繊維やディテールを優しく扱うため
に「揺り籠で赤ちゃんをあやすように」最小限の機械力でゆっくりゆっくり
ゆらして洗っていきます。このマイクロバブルと揺り籠洗いが3分、濯ぎ
が2分を2回、そして脱水です。
洗剤はオーガニック協会が推薦している中性の消臭抗菌用洗剤を使用
しています。尚且つ、洗浄後のジャケットは人体成型乾燥機の乾燥時に
再度消臭抗菌剤をジャケットの裏表に噴霧して、本来のキレイで清潔な
状態に戻していきます。
とまあ、早朝一発、こういうスーツ洗いの作業を行います。地元が終わ
れば、全国からのブランドスーツです。正直言って、地元のスーツと比べ
ると汚れは雲泥の差。やはり高額なスーツは丁寧に几帳面に着用されて
いる方が多いので、臭いもなく本音を言ってとっても気分が楽です。
ブランドスーツの場合は、ドライ→水洗い→シリコーンと三段階の工程を
踏んでいきます。また、スーツがとてもキレイな状態や、ディテールやデ
ザイン性を重視する場合は、逆に水洗いはストップして衿、袖口、脇、
ポケット回りの汗や手垢が付着している部位をスポッター(蒸気)でマメに
汗抜き等をしていき、シリコーンに入れていきます。当然、消臭抗菌も行
います。そしてあれだけの手間をかけてのプレス・・・、多くのテーラーさん
たちが見学に来られて必ず言われる言葉、「ここまでやって、これじゃあ
安すぎません?」です。現場を見られたら、アパレル、セレクト、お客様に
関わらず、誰もが必ずおっしゃる言葉です。
ということで、ここでは手間暇かける分だけ時間が宝。さて、洗い場から
呼びに来ましたので現場に戻ります。仕事の合間をみはからっては、
ブログ打ってますんで、誤字脱字ありましたらごめんなさいね。
生かしていただいて ありがとうございます。
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とまあ、早朝一発、こういうスーツ洗いの作業を行います。