半合成繊維
半合成繊維とは、植物や動物からの天然の資源を使って、合成した化学品を反応させて独自の性質を持った化学繊維を作ったものです。
半合成繊維には、パルプの繊維素を主原料としたアセテート、トリアセテートと、牛乳蛋白カゼインを主原料としたプロミックスがあります。
化学品の成分が約半分になるので、半分合成繊維に近いという意味で半合成繊維と呼ばれています。
アセテート・トリアセテート
アセテート・トリアセテートは木材パルプを原料としたセルロース(繊維素)に酢酸を化学的に結合した繊維です。
また、アセテートとトリアセテートはほとんど同じですが、化学物質である酢酸の含まれる量の違いによって、アセテートとトリアセテートに分けられます。また、それにより特性が微妙に変化します
アセテート(左)トトリアセテート(右)の側面
アセテートは植物由来の繊維である為、自然界に放置されても生分解されることから、環境に優しい繊維として注目されています。
また、その用途はさまざまです。独特の光沢や風合いの良さから、服地や和装小物類・シャツ・裏地・ネクタイ・スカーフ・カーテン・かさなどに用いられたり、実はタバコのフィルターのほとんどはアセテート繊維が使用されています。
また、アセテートは、シルクに似た光沢と深みのある鮮明な発色が特徴で、弾力性がよく、比重も軽く、ハリ感やドレープにもすぐれています。
除光液やシンナーで溶解し、酸化窒素ガス(車の排気ガス、ストーブなど)でガス退色をおこすので注意が必要です。
アセテートに除光液は厳禁!
ご家庭での染み抜き時には、アセテート・トリアセテートの衣類に、除光液やシンナー等をつけると生地が溶解しますので、絶対に行わないで下さい。
また、プロのクリーニング店でもアセテート・トリアセテートの生地にボールペンやマニュキュアなどが付くと、これらを取り除く染み抜き剤などが使用できないので、取り除く事が困難になりますので、お気をつけ下さい。
アセテート製品のトラブル
ガスによる変色
アセテート繊維で特に気を付けなければならないのは、酸化窒素ガス(NOx)による変色です。酸化窒素ガスが、空気中の窒素が燃焼によって酸化されることにより生じます。酸化窒素ガスが繊維に吸着・浸透すると、その作用によって染色されている染料分子が分解されてしまうため、色に変化が生じます。ガスによる変色は、輪郭がはっきりせず、ぼんやりとしてまだらな状態がよく見られますが、時にはくっきりと薬剤が付着したようになることあります。
また、ガスが繊維を透過してしまうため、表面だけの変化ではなく、裏側や折りたたまれ重なっている部分でも変色することがあります。
色がにごる
アセテート繊維は、湿った状態で熱が加わると、繊維がにごって色が変化する「失透現象」が生じ事があるので、スチームを使うような仕上げの際には十分な注意が必要です。
プロミックス繊維は、タンパク質の牛乳カゼインにアクリロニトリルをグラフト重合(枝状に共重合させること)して作った繊維。プロミックスは1970年代に日本の東洋紡㈱にて開発されました。
プロミックスは、シルクに似た美しい光沢と適度な吸湿性があり、エレガントなフォーマル・ドレスやパーティ・ドレス、スーツ、コート、ブラウスなどに使用されています。
プロミックスは絹のような風合いでとても軽やかな素材です。まず、絹のような繊維を作るのには二つの方法があります。
一つは原料そのものを絹に近い蛋白質を使って糸を作る方法。もう一つは原料は違えど製造工程や装置の工夫によって糸を作る方法。
プロミックスはその前者にあたります。
プロミックスの3大特徴
・絹のような風合い 合成繊維特有のヌメリ感がなく、肌に優しいタッチ、暖かみがります。絹やポリエステルよりも軽いので、着心地がとっても軽いんです。
・光沢と発色性 絹のような上品な光沢があり、常温で染色できる素材なので染色し易く、あざやかな色を表現できます。
・吸水速乾性 他の合成繊維と違い吸水発散性を持ち、いつまでもべたつかず、いつもさらっとしています。
因みに、プロミックスの意味は、タンパク質(プロテイン)を含んでいる(ミックスしている)という意味です