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「新人さんいらっしゃい」技術研修ブログ

「スーツの検品のお話し」3/16(火)

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日々入荷してくるスーツを検品する時に、

必ずシミや汚れをチェックしていきます。

 

汚れやすいポイントは、同時に、

洗う時の前処理で重点的に汚れ落としをするポイント

でもあります。

 

スーツのジャケットで、まず見ていくのが首回り。

着用を重ねたジャケットではほとんどに皮脂汚れが付着しています。

この時に、汚れが付いている事だけでなく、汚れを取った後の襟が、変色したり

スレて白くなっていないかを見極めることが大切です。

 

ほとんどに皮脂汚れが付着していると言いましたが、

皮脂汚れとは、脂肪酸、ワックスエステル(車に塗るワックスみたいなもの)、

コレステロールが主な成分ですから、まあ、体の中のいらない脂です。

 

この脂が皮脂腺から出てきて

汚れ(大気中の汚れや皮膚のはがれたもの等)と一緒になって生地に

付着していくわけです。

 

やっかいなもんですよ、

これをほおっておけば、臭いがしたり、生地が劣化したり、

変色したり・・・。

 

だからマメにクリーニングに出すか

首回り、両脇、袖口等、必ず汗や皮脂が付着する衣類の部分を

日々キレイにピンスポットで洗い落としておく必要があります。

すぐ汚れが付着してた来るので・・。

 

この方法は次回でもお知らせしておきます。

私も一度着用したジャケット等は必ずこういった汗と皮脂取り

メンテナンスを行っています。

気持ち悪いから。

 

シャツに関しては皆さんもそうでしょうが、

必ず各部位を中性洗剤で前処理して洗ってプレス

しておきます。

 

これも次回お知らせしますね。

とにかく洋服を大切に長く着ようとすると

マメなメンテナンスが大切です。

 

また、こういったことをお客様や

周りの人たちに啓蒙するって大切です。

 

なんでもかんでもクリーニングに出しなさい、

みたいなことを言うのではなくて、自分で出来るものは

自分でメンテナンスしておくという良いクセをつけてもらう

というのも皆さんのお仕事であるわけです。

 

さて、話は戻りますが、

首回りに限らず、汚れが取れると、

それまで隠れていた変色やスレなどが現れる

ことはよくあります。

 

着用状況などから判断してそれを予測し、

お客様には必ずそのゆうな情報はお伝えしてやくことです。

伝えていないと、「そんなの、聞いてないよ~~ヽ(`Д´)ノプンプン」ということに

必ずなりますからね、気を付けて。

 

 

次に袖口の汚れ。

こちらも内側には皮脂汚れが多く、袖口の裏地は、

汗によって黄変しやすい箇所でもあります。

 

袖や襟、

背中などが全体に汗をたくさん吸って、触ると生地がべたっと固くなり、

汗の臭いがツンとするような時は、袖を裏返してみると、袖裏全体に黄変している

こともあります。

 

そして、

汗ジミの一番できやすいのが脇の下。

汗が乾いて輪ジミになり、そのままにしておくと生地が黄変したり色抜けしたりして、

漂白や色修正をしないと、元に戻らなくなります。

また、いやな臭いも出てきますし、更に時間が経つと、

生地が劣化して破れてきます。

 

こういったケースは男女とも一緒です。

女性の場合、ワンピースとかブラウスとか

とても脇の汗による黄変が目立つケースが多いです。

 

それから、

ポケット口も汚れやすいポイントです。

手で何度も触るために、皮脂で汚れやすく、

内ポケット口も汚れたり変色しているもの

がよくありますよ。

 

そして、

内ポケットの中にはインクが染み込んでいることもよくあり、

うっかりしてそのまま洗ってしまうと、

オオッ~( ;∀;)表地に滲みだすケースもあります。

 

また、内ポケットには、

共布や替えボタンや時にはお札が入っていることが多いですから、

必ずポケットの中を確認して、インクジミがあったり、

物が入っていないかを確認します。

 

それから、

ラペルや前身頃には食べ物のシミが良く付いています。

 

ちなみに、

シミと汚れはどう違うかというと、

厳密に区別はできませんが、

分かりやすく言えば通常に着用していて付着するような、

空気中のばい煙によって付着するものを汚れと言います。

付着だからデパートのマネキンの衣類だって汚れは発生します。

 

で、汚れが付着する原因を区分すると、

①自分の体から分泌される汚れ。

②外部から付くホコリや煤のような粒子状物質による汚れ。

③食べこぼしや、泥はねのようなある行為によって発生する汚れ、

などがあります。

 

ところがシミは、ワインをこぼしたり、醤油をつけたり、

トマトケチャプやカレーやコーヒーがこぼれたり、突発的な出来事によって

衣類のある部分に不要物が付いてしまうものであって、このシミは

なかなか取り除きにくいのです。

 

「シミ抜き」という言葉はありますが、「汚れ抜き」という言葉は

聞いたことがないでしょう。汚れは洗浄することで相当なものが落ちますが、

シミは洗浄だけでは落ちにくいものと理解してもらえてればいいです。

 

で、フロントや電話受付でお客様から、

「これって落ちるかしら?」と、よく聞かれるでしょ。

おおよそ一般的には「やってみないと分かりません」的な無難な答え方をしていますが、

うち会社の場合は、

そうですねえ・・・現在まで客観的に見てみて「これはムリ~」という

ものも95%は落としてますので、この事実ははっきりとお伝えして、

「過去の事例からほぼほぼ95%は他店でダメなシミも落としてますが、

残りの5%の溶けなく動かないシミで、取るためにはとてもキツイ溶剤

とか、高い熱を加えるとか、結果的にそのことによって生地を傷めたり、

また破れたりする可能性大というシミもあるんですよ。そういう場合は

生地との関係があって物理的にムリなんです。

他だったら過去の実績から95%は落としています。」と

正直に自信を持って伝えておいて下さい。

ほとんどの人が、

「じゃあ、お願いします。他に持っていてもムリだと分かっていますから」

と、言われてます。

 

また、シミの種類に関しては

次号でお話ししましょう。

 

さてと、

次にパンツの検品です。

パンツも上着と同様にポケット口は手を頻繁に入れる人は、皮脂汚れが付いています。

また、裾には、靴墨の汚れや泥汚れもあります。

そして、裾のダブルの折り返しの中に溜まったホコリは必ず取ります。

 

 

パンツの内側もシミや汚れが多いところです。

まず、ウエスト回りのマーベルトは汗による黄変や手で触ることによる汚れが

多いところです。

 

そして、ポケットの袋は、

ずっと肌に接していて汗を吸い、ポケットに入れるものの

汚れも溜まって、茶色く変色しているものも多いです。

 

そして、

ファスナーの内側から股にかけてのシック部分は、

アンモニアによる黄変が多い部分です。

 

パンツを清潔に履くためにも、

内側のシミや汚れは取っておかないとね。

(汗で黄変して固くなったパンツの太もも付近)

また、

パンツでもう一つ気を付けるところが、

サイドシームの裏側の折り返しの間に

溜まった綿ボコリ。

 

これが結構ありますから、

検品時にはポケットの袋内もそうですが、

こういったサイドシームの裏側の折り返し間の溜まった綿ボコリは

必ずブラシで取っておきましょう。

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