「帝国ホテルという場」2/28(木)
洗濯ものを目で洗う”帝国ホテルのランドリーサービス
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連載:「一流の世界」へようこそ
「シャツを洗濯に出したい。できれば帝国ホテルのランドリーに」
これは1995(平成7)年に公開された映画『JM』の中でキアヌ・
リーブスが口にしたせりふである。
彼が帝国ホテルに滞在した際、ランドリーのサービスに感心して、
アドリブで出たのだそうだ。
帝国ホテルに「洗濯部」ができたのは、1911(明治44)年のこと。
大きなカバンを3つも4つも手にした船旅の時代、海外からの旅行
客にもっとも喜ばれたのが衣類の洗濯だった。
帝国ホテルにはディナーショーやバイキング料理などいろんな
“日本で初めて”があり、ホテルにおけるランドリーサービスもその
一つ。今年で110年になる。
洗濯ものは地下1階にあるランドリー室で、まず衣類の素材、
汚れ、シミ、キズ、穴などを徹底的にチェックする。
ボタンに至っては、「注意ボタン見本」があり、割れやすい貝類
や変色する革のボタンなどは洗濯前に取り外す。その際、元通
りに付け直して戻せるようにボタンの位置、縫い付け具合、順番
や配列などスケッチしメモしておくほどの徹底ぶり。
「この検品がいちばん重要な仕事です」というのは、宿泊部客
室課ランドリーのアシスタント・マネジャー浅野昭夫さん(39)。
帝国ホテルのランドリーは「洗濯ものを目で洗う」といわれる由縁
である。
万一のことを想定して、約200種類のボタンや糸も取りそろえ
てある。熟練した職人でないと扱えない重さ4、5キロの電気アイ
ロンは、半世紀にわたり使用されていまなお現役だ。
洗い場1年、アイロン1年、ドライクリーニング1年、ホフマン(ド
ライ仕上げ)1年の経験を積み、初めて一人前になる。この道一
筋45年の栗林房雄さん(64)をはじめ、総勢35人のランドリー
スタッフは、帝国ホテルを“裏方”で支える。
料金は、スーツ上下の場合、プレス2100円、ドライ3465円。
ハンカチ1枚210円だけでもOKである。
洗濯するためにホテルを予約する客もいて、中には「衣替えの
季節になると、10着、20着と持ち込まれるお客さまもいらっしゃ
います」(浅野さん)。
となれば、帝国ホテルのランドリースタッフは、もはや裏方では
ない。 (谷口和巳)
■谷口和巳(たにぐち・かずみ) 団塊世代の編集者。4つの出
版社を転籍、19の雑誌に携わり、編集長として4誌を創刊。団塊
世代向け月刊誌『ゴーギャン』元編集長。『女優森光子 大正・昭
和・平成−八十八年激動の軌跡−』『帝国ホテルの流儀』(共に
集英社)などの書籍も手掛ける。
ピカピカに磨き上げられた床、徹底的にメンテナンスされた機械
の数々、とにかく掃除と整理整頓が徹底されていた帝国ホテル
ランドリー部でした。
クリーニングでもクリーニング屋ではない、その場の空気がとて
も心地よいものでした。
やはり伝統と歴史のある帝国ホテルという場が、ランドリー部
だけででなくすべての部門のエネルギーを押し上げている、
そう実感したひと時でした。
話は変わりますが、地下の「とらや」で食べた「ウグイス餅」上品
で美味しかった。この「ウグイス餅」は期間限定でしたので早々
帝国ホテルの「とらや」に行きたいと思っています。
皇居も見える17階のラウンジにも。
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