事例紹介

この麻の3ピースのお客様は、このスーツに対して思い入れが強く、着用してきた年月の味を大事にしたいと言う方でした。つまりいつも通りきれいにして、色も新品と同じように染めて、きれいにしてお返しすると言うだけでは納得をされないお客様と言うことです。

着こんだエイジング感を残してきれいにして欲しいとの依頼で、まず、シリコーンドライで皮脂などの汚れや全体的な油性の汚れを取り除き、次に、水洗いで汗を落として、サイジング剤で張り感を出しました。この時点で、汚れが取れて色目もいい感じでしたので、袖口や前立てのエッジとパンツの股下などの擦れて毛羽立ったところを中心に染色補正しました。麻の着用感の味をそのままに、ただ不潔だなと言う感じのするところは清潔にし、色修正も変色して、赤くなっている周辺の修正に留め、最小限にし、麻のエイジングの味を最大限に残した味付けとなっています。今回のこの3ピースは、ピシッと仕上げた仕上げにおいても最後に完璧に仕上げた後に霧吹きで水を吹き、少し緩んだ感じとなることで、麻の使用感が出るように施しています。