「生命の息づきを見る」
金子みすゞさんの代表作の一つに
「大漁」という作品があります。
朝焼小焼だ
大漁だ
大羽鰯(おおばいわし)の
大漁だ
濱は祭りの
ようだけど
海のなかでは
何萬(なんまん)の
鰯のとむらい
するだろう。
(『金子みすゞ全集』より)
これは鰯がかわいそう、
鰯でなく人間に生まれてよかった、
というような薄っぺらい同情のこころを
うたっているのではありません。
そのような感情は、
人間中心の思いあがりにしか過ぎません。
みすゞさんの心の瞳は、
魚や小鳥や月や雪、
さらに花や露草にも命の息づきを見ていました。
そうしてそれら命がすべてつねに響きあい、
照らしあっていることを感じていました。
目に見えるものだけでなく、
目に見えないものを
深く見つめていたみすゞさんであったのです。
青いお空の底ふかく、
海の小石のそのように、
夜がくるまで沈んでる、
昼にお星は眼にみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
散ってすがれたたんぽぽの、
瓦のすきに、だァまって、
春がくるまでかくれてる、
つよいその根は眼に見えぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
(『金子みすゞ全集』より)
「星とたんぽぽ」というこの詩は、
深くものを見つめたみすゞさんの眼差しをよく示しています。
見えないものとは、人間の心であり、仏さまの心です。
形あるものは見えますが、形のないものは見えません。
しかし、形のないものに人生のもっとも大切なものがあることを
見つめていたみすゞさんでした。
「大悲のひかり 法語カレンダーより抜粋転載」
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ファーストスーツ研究所
「Sartoria Ciro」は、サルト(仕立職人)である空井浩久氏の
手がけるジャケットブランドです。空井氏は銀座のテーラーや
ナポリの偉大なマエストロAntonio Panico(アントニオ パニコ)
の元で修行したサルトになりまして、イタリアでの修行の後、
日本でビスポークを手がけるかたわらモデリストとしても手腕
を振るっていました。こちらのMTMモデルもナポリで学んだク
ラシックなサルトの仕立服の再現を目指したもので、縫製もただ
入れた型紙を縫ってもらうだけではなく、空井氏がナポリで学ん
だパターンを縫う為にこれまで行っていなかった縫製技術や芯地
の使い方を取り入れています。その結果出来上がったものはナポリ
と日本の技術が融合した、これまでに無いジャケットとなってい
ます。
某テーラーさんのブログより転載掲載
昨日は久々に空井くんが工房に訪ねてくれました。
彼は広島(同郷)呉市にあるテーラーの長男さんで、
実は昔そのテーラーさんで僕がスーツを作ったきっかけ
から、当時ナポリのアントニオパニコさんのアトリエの
修行から日本に帰ったばかりの彼を彼のお母さんから
紹介されることになります。
お母さんは、そのころ、呉のお寺の仏教婦人会の会長をされていて、
それがきかけで僕は空井君のお母さんが経営するテーラーさんで
グレーのスーツ一着作った記憶があり、当時からナチュラルクリーン
に携わっていましたので、「息子が帰国後は一度ナチュラルクリーン
さんのご住職へ、ご挨拶に伺わせます」ということでした。
そして、しばらくして工房を訪れてくれた彼き、でその後、弊社に
度々訪れて、ナチュラルクリーンが目指す衣類のケアに共鳴し、ナ
ポリで学んだプレス技術や、テーラーの検品方法などを指導して
くれました。
その後彼は麻布テーラーでアトリエを任された後、
日本橋三越本店で彼のアトリエを任され、そして昨年
自分の理想を求めて惜しまれる日本橋三越を後にして、
ファストスーツ研究所を開設します。
彼のテーラーとしての技術は一流ですから多くの富裕層
の顧客から支持を受けて、現在は個人で会員制のアトリエ
を設けています。その上で、そのスーツのメンテナンスは上質なウォ
ータークリーニングの弊社で受けて欲しいというお話で
した。
正直言ってビジネスというよりは、若い人たちのスーツに
対する感性や価値観を高めるためのお手伝いです。
久々にわくわくするようなお話に時間を忘れておりました。
また、せっかくの機会だからと、私は自身のナポリスーツを
採寸してもらい、一着作ることにしました。2か月後の仕上
がりがとても楽しみです。
とにかく今後彼と何度も打ち合わせを行いながら、彼の目指す
ファーストすーつによる若い人たちスーつ感覚の育成のお手伝い
が出来ればと考えています。
とても純粋でいい話です。
ただ、これはお互いしっかり出てないとできないプレジェクト
なので、そういった支援ができるための利益は今年度も出して
いく気持ちが強くなりました。
人間は良い志をもつことによって、さらに頑張れます。
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お客様の声
伊勢丹新宿店メンズ館
●「スカートのシミが無くなってい
る。」とお喜びでした。
(50代 女性)
阪急メンズ東京
●気温の変化により、冬物をクリー
ニングに出されるお客様が増えてき
ました。