釈尊を罵倒した司祭に対して、
釈尊が説法・説明を始めます。
よく知らない相手に対して、
自分自身の間違った先入観や、
相手の外見だけを見て、
その相手に対して怒りから始まる人。
こういう行動こそが、
最下層の人間がとる行動である。
【原始仏典『スッタニパータ』
第一章第七節-百十六番]
今の社会でも、
みすぼらしい服装をしていれば、
お店での対応が違うことはあります。
また、アジアの人が
欧米へ旅行に行きますと、
飲食店ではよく経験することです。
有名なレストランの受付では、
宿泊するホテル名を
最初に聞かれることもよくあります。
超一流のホテル名を出しますと、
案内される席の場所が変わります(笑)。
そして、この司祭のように
他人の外見だけを見て、
怒りの対応から始まる人。
こういう人が、
日本でも増えている気がします。
釈尊は、こういう人は見せかけの
外見だけで態度がコロコロと変わる、
人として最低の人間だと示唆します。
この司祭が、もし釈尊の
出自(元・王子様)を知っていれば、
犬猫を蹴散らすような
態度で罵倒をしたのでしょうか?
近年の米国のテレビ番組で
継続して人気のあるコーナーは、
社員に知られないように
CEO(最高経営責任者)が、
その会社にアルバイトとして
潜入する内容です。
悪い社員や理不尽な上司、
会社の施設や仕組みの
不備、不正行為。
これらを直にCEOが
目撃して実体験をします。
そして番組の最後で
正体を明かして、
社員を驚かせ、
会社の改革をおこないます。
ちなみにトランプ大統領も、
ニューヨークを舞台にした
テレビ番組『アプレンティス」
(見習い、という意味)の
司会を努めていました。
自分の会社である
トランプ・グループに
入社を希望する人々に
課題を与えてチームで競わせ、
挑戦者が持つ隠された面を
露見させて、選別の最後に
落ちた人に「君はクビだ!」
宣言するのが大人気でした。
日本でも、身分を隠して
庶民の間に潜入する
『水戸黄門』が、
昭和の大ヒット番組でした。
最後には、他人を
外見だけで罵倒したり、
イジワルをした
社会に隠れている
悪い連中を懲らしめます。
また、虐げられていた
良い人々も助けます。
つまり万国で人気を持つ
番組の内容を見ましても、
*相手の外見だけで、
態度を変える面が誰にでもある。
*また、そういう強い態度の人に
復讐してスカッとしたい面の
サガ(性)も併せ持つ。
*外見で他人を差別する人が、
もし自分自身が外見で
差別を受ければ復讐をしたい。
人間には、こういう面がありそうです。
ただ、常識的な外見の
エチケットは大切です。
服の洗濯もしないで、
お風呂にも一カ月も入らないまま、
お店で差別を受けたと
主張されましても、
逆に言えば常識的な
エチケットを守って、
お金を払っている他のお客様には
平等ではありません。
悪平等には、
注意しなければいけません。
この項の釈尊の示唆である、
他人の外見だけを見て、
「怒りの」対応から始まる人。
これだけは、誰もが
そうしないように
注意をしておきたいものです。
相手にも、何らかの
事情があるからです。
この項も、今の社会にも
十分に通じるお話でした。
「柔訳 釈尊の教え 第ニ巻」
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