道=真理とは、どの時代でも
それを名づけることができません。
真理とは、まるで切り出した
小さな原木のようなものなのです。
原木を切り分けて加工しますと、
それぞれが名前を持つ色んな道具に変わります。
一つの道具が生まれれば、
その道具からはさらに別の名前を持つ物が生まれ出ます。
もうこの時点では、
最初の「原木の姿」=真理が
わからなくなってしまっています。
人間が真理(道)を知ることが難しいのは、
すでに加工されて
名前が付けられたモノばかりを見るからです。
キレイに加工された木製品から、
元の原木の姿を見ることが難しいのと同じなのです。
この理屈を人間が理解しますと、
人生を安全に迷うことなく歩くことができるでしょう。
このような真理(道)の姿を
コノ世の大自然の姿で表現しますと、
川の流れや谷川の水が
大河を経て海とつながっているように、
「すべてがつながっている」のが真理なのです。
私たち人間は、色んなことで悩みます。
私たちは、目の前の「その悩み」だけを見て悩んでいます。
しかし、加工されて出現した「その悩み」にも、
原因となる元の原木が必ずあるのです。
だから目の前の悩みを解決する、
自分が納得するためには、
悩みの元の原木を見よう・探そうとする視点を
持つことが人間には大切なのです。
目の前の悩みだけを見て悩んでいますと、
悩みの元の原木がそのままなので、
再び必ず同じような悩みがリピート再生をするのです。
「その悩みの原木(原因)とは何か?」を見る視点を
自分に持ちましょう。
このような視点を持った人間は、
人生を安全に渡ることができると老子が言っています。
そして最後に老子は、
コノ世のすべてが連動している、
つながっていることが真理の姿だと言います。
川の流れを見ただけで、
その先にある見たこともない海の姿を想像できますか?
逆に海を見て、
それにつながる小さい川の存在を
思いやって想像することができるでしょうか?
人間が生きるとは、
このように色んなつながりを
想像することが大切なのです。
これができるためには、
人間は「思いやり」「愛情」「感謝の気持ち」を
持つことが必要なのです。
「柔訳 老子の言葉 写真集」
著：谷川 太一より抜粋転載
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