重いモノには、
それを支える軽いモノが、
その根底に陰として必ず存在するものです。
大木を支えているのは細かい根っこであり、
大国を支えているのは
一人ひとりの弱い人間に過ぎません。
このようなことを理解している聖人は、
一日中ずっと行動しましても、
働いてくれる荷物を積んだ馬車の側を離れようとはしません。
自分の下で働く人間や動物たちの労働のお蔭を知っており、
またこれが自分の財産を守ることを知るからです。
また聖人は、きらびやかな光景や豪華な宴席に迎えられましても、
下々の人たちのことを忘れずに
超然として心が左右されることがありません。
ましてや、一国を代表する人間は、
天下の物事に軽々に左右されてはいけません。
代表者の行動が軽ければ、
それを支える人々を失います。
そして、心が落ち着いていなければ、
その立場を失うことになるでしょう。
この話は、国の代表者や政治家、経営者だけではなく、
家庭を持つ主婦にも夫にも言えることです。
「子どもや老人たちが存在するお蔭で
家庭が成り立つことを改めて知ること」
「家族の小さな声にも耳を傾けること」
「他人の豪華な生活に惑わされないこと。
パーティーなどの豪勢な場に出ても、
家庭で待つ家族の存在を忘れないこと」
「もし、そのような栄華に惑わされて軽率な行動をすれば、
家庭を失うことになることを知ること」
このように老子のたとえ話は、
現代社会でもキレイに当てはまります。
本当の真理というものは、
数千年を経過しても生きているのです。
「柔訳 老子の言葉 写真集」
著:谷川 太一より抜粋転載
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