人食い鬼神が釈尊に問いかけました。
「コノ世の人間にとって、
最高の財産とは何なのでしょうか?
どんな修行をすれば、
その財産が人を幸福にするのでしょうか?
幸福の甘味の中でも、
最上に美味しい甘味とは何でしょうか?
どのように生きた人間が、
最上の人生だと言えるのでしょうか?」
[原始仏典『スッタニパータ』
第一章第十節-百八十一番]
釈尊が返答しました。
「コノ世において、正しい本当の信仰を
信じることこそが最上の財産です。
正しい信仰とは、他者や他の存在を
信仰することではありません。
自分の中に字宙を求めるという
信仰を追求することが、
その人に最上の安心をもたらします。
そして、人間は善行に対して
誠実に生きることこそが、
様々な幸福の甘味の中でも、
最上の美味しい甘味をもたらします。
その中でも、目覚めた知恵を
持って生きる人の人生とそは、最上なのです」
[原始仏典『スッタニパータ』
第一章第十節-百八十二番]
「もし、質問に答えることができなければ、食い殺す!」
と釈尊を脅迫する鬼神からの
第一発目の質問がこの項です。
鬼神「人間の最高の財産とは何だ?」
釈尊「他人や、あなたのような
霊的存在を信仰しない
信仰を持つことが、最高の財産です」
釈尊は、いきなり最初から
痛烈なストレートを
鬼神に対して打ち放っています。
古代インドでは、
釈尊が生まれる前からの
最大の信仰は、バラモン教
(ヒンドゥー教の源流)でした。
多くの神々を、
人間の外に設定して信仰しています。
でも釈尊は、古代からの信仰を否定して、
*宇宙も神々も、自己の中に在る。
*われ常に、ここに在る
(天上天下唯我独尊)
これを追求するのが
真の宗教だとして、
信仰を広めようとしていました。
人間は、自分の中に
神仏を求めてこそ
最高の幸福と安心に至ると、
釈尊は鬼神に対して説教をしています。
多くの人間を
「食い殺すぞ!」と脅迫して、
「食い殺されるから崇めておこう」
と長く人々から信仰されてきた
鬼神の質問に対して、
まるでブラックジョークのような
返答を釈尊はしています。
でも、これが本当の仏教の原点ならば、
現代の信仰は仏教も含めて、
すべて足元が掘らぐような
釈尊の返答です。
釈尊こそは、命知らずの
真の革命家だったと言えます。
そして、
「人間は、善行に対して
誠実に生きることこそが、
様々な幸福の甘味の中でも、
最上に美味しい甘味をもたらします」
という釈尊の言葉です。
実際の生活においても、
これを実践すれば、
仕事も金も人も付いてくる
という現実的な返答をするところが、
釈尊の凄いところです。
生ぬるい精神論だけで逃げないのです。
「善行を誠実におこないなさい!」
こういう姿勢で働けば、
社会や会社で出世していくのは
間違いないのです。
気がつけば、貯金も、結婚も、
住まいも揃っていることでしょう。
ただ、その次の段階として、
これだけで人生を終えましても、
最上の人生ではないのです。
誠実に生きて、
安心した生活をした上で、
「その中で『真理の知恵』を
求める生活をおこなうことが、
最上の人生となる」
と釈尊が鬼神に答えています。
皆さんが、自分なりの生活を、
善行と誠実さを意識して暮らし、
その中で、このような真理の本を
読むことこそが、
最高の人生の贅沢であり、
人間として辿(たど)る人生の
最終形だと釈尊は示唆しています⋯⋯
と手前味噌の解釈をしておきます(笑)。
さて、人食い鬼神は、釈尊からの
強烈な嫌味とも取れる返答を、
素直に聞けたのでしょうか?
それとも激昂したのでしょうか?
「柔訳 釈尊の教え 第三巻」
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お客様の声
君津本店
●「フォーマルがカビてしまって、
土曜日までに出来ますか?」と心配
そうにご来店。「出来ます。」とお
伝えすると、うれしそうに「お願い
します。」と、おっしゃってお帰り
になりました。