生命は必ずすべてが
根源へと帰っていきます。
根源に帰ることを「静寂(死)」と言い、
これは大きな命の元に帰ることなのです。
命の元に帰る途中の過程を人生と言い、
人生の本質を知ることを
「知恵」と言います。
知恵がなければ、
人生に迷うことに必ずなります。
人生の知恵を持てば、
生活を正しく・楽しく生きることができます。
人生を正しく生きる人は、
公人(社会のために尽くす人間)と自然となります。
社会に尽くせる人は、
人生の本当の意味では王様なのです。
社会に尽くす王様とは、
太陽と同じです。
太陽は、与える一方の奉仕のカタマリです。
人の人生も、太陽と同じなのです。
人間も朝日のように生まれ、
高く昇り、そして日没のように消えていき、
永遠の命の元に帰るのです。
ここの老子の文章で大切なこと、
それは次の三つです。
①人間は知恵を持つことが大切であり、
そのためにはあわてずに
自分の今の状況を静観すること。
②どんな苦しみも、
必ず去っていくのが法則であると知ること。
③何があろうとも最後は、
大きな命の根源へと全員が帰っていく。
生まれ出た母親の元に帰るように、
全員が安心の心境に帰るということを知ること。
そして、
自分は地獄に行くに違いないとあわてるのは、
今の自分に知恵がなくて、
他人に尽くす「奉仕の心」が
ないからだと老子は看破しています。
だから老子は、
人間は死ぬまで勉強して知恵を持ち、
すべてを静観する気持ちを維持しながら、
他人への奉仕の気持ちを持てれば、
その人は人生の真の勝利者だとしています。
金持ちが人生の勝利者ではないのです。
真の勝利者とは、
他人や社会に尽くせる人間のことなのです。
なぜならば人間は、必ず死んでいくからです。
「柔訳 老子の言葉 写真集」
著:谷川 太一より抜粋転載
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