「人が生きる道」を知っている
真の聖人がおこなう政治と経営というものは、
民衆にムダな競争をさせることをやめさせて、
その代わりに心身を健康に保つ行事・習慣を社会に持たせます。
民衆が互いに競う・比較し合う気持ちから
発生するストレスを少なくして、
心身を強く保っていれば、
間違った知識や野心を持つ
一部の人間にダマされることがなくなります。
間違った経営者が、
社会に生まれなくなるのです。
このようにして世の中を自然と安泰に治めることが、
聖人には可能なのです。
適度な欲望や競争は
人間を向上させるものなのですが、
過度な出世競争や金銭至上主義は
社会に犯罪を生み出させて、
人間の心身を荒廃させることに「最終的に」なるのです。
会社経営も必ず行きづまることになります。
行き着く先は、「ツワモノどもが夢の跡」です。
百年間の快楽を享受しましても、
人間の心身が病んで滅んでしまえば意味がないのです。
それよりも、一見は成長しない社会に見えても、
心身を健康にする千年継続する
社会のほうが賢いと老子は示唆しています。
今の日本は、適度に欲望が枯れつつあると思います。
繁栄一辺倒の社会から冷めつつあるのではないでしょうか。
お金を持っていましても、
心身が病んでいれば楽しめないこと、
その意味がないことに、
やっと日本人は気づき始めたのかも知れません。
これは個人も社会も長生きするためには、
よい感じなのかも知れませんね。
「柔訳 老子の言葉 写真集」
著:谷川 太一より抜粋転載
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