自己肯定感の低い子どもが増えている原因

保護者

日本では現在、自己肯定感の低いお子さんが多いと聞きました。本当でしょうか。

教室長

2016年に文部科学省へ提出された、ある調査データ(※1)によると、日本の高校生は諸外国の高校生と比べて、「自分は人並みの能力がない」「自分はダメな人間だと思う」など、自分の能力に否定的な意識をもつ傾向が強いとありました。2014年と2008年に行った調査を比較すると、肯定的な回答がわずかに増加してはいるものの、依然として諸外国と比べて低い水準であることには変わりがないようです。

保護者

検索してみたら、(財)日本青少年研究所のデータにも(※2)、(独)国立青少年教育振興機構のデータ(※3)にも、同じような結果が出ていますね。学年が上がるにつれて、自己肯定感が低くなる傾向があるみたいですね。
自己肯定感が低いと、どうなるんでしょうか?

教室長

自己肯定感が低いと、自分への自信が弱く、将来に対して前向きな気持ちを抱きにくいといわれています。つまり、「自分には無理」「どうせできっこない」「こんな自分には価値がない」などという意識を持ちやすく、勉学などにも積極的に取り組むことが難しくなりがちなのです。

保護者

だから、教育では「自己肯定感が大事」といわれるのですね。どうして自己肯定感が低くなってしまうのでしょうか?

教室長

先に挙げた文部科学省の調査では、自己肯定感にかかわるさまざまな要因の分析もしています。それによると、「各教科の正答率の低い子」「達成感や意欲的な意識の低い子」「規範意識の低い子」「社会・地域に対してマイナス感情を持っている子」などで、自己肯定感が低くなる傾向があるようです。

自己肯定感は生きる上で重要なメンタル

保護者

そもそも自己肯定感が低いとは、具体的にはどんな状態を指すのでしょうか?赤ちゃんにも自己肯定感はあるのでしょうか?

教室長

まず自己肯定感をナルシスト的だと思う人もいるようですが、それは違います。「自分が自分でいていい」「今の自分が好き」「生まれてきてよかった」と思える気持ちのことを自己肯定感といいます。ですから、このように考えられないということであれば、自己肯定感は低いといえます。自己肯定感は、0歳から芽生えるといわれています。0歳は、言葉をぐんぐん吸収して覚える時期です。そのときに大人からプラスの言葉をたくさん浴びたり、笑顔を向けられたりすることで、自己肯定感が育っていくといわれています。

保護者

育児書にも、「上手にできたね」「元気でいいね」などプラスの声掛けをされたお子さんは自己肯定感が高くなる、とよく書かれていますね。「自分は今のままでいいのだ」と感じることで、自分に自信を持てるようになるのかもしれないですね。

自己肯定感が高いと、お子さんたちにとってどんなメリットがあるのでしょうか?

教室長

自己肯定感の高いことのメリットは数えきれません。たとえば、以下のようなものがあります。

・自分を大切にできる
・自信ややる気が出る
・自分で考えて選択することができる
・自分の意見が言える
・自分の可能性を信じて努力ができる
・失敗しても反省し、また進むことができる
・自分を大切に思えるということは、相手を大切に思えるということ
・人間関係が豊かになる
・安心感があり、落ち着いている
・社会のために役立つ人間であろうとできる、など

保護者

どれも、人間が自分らしく生きていくためには欠かせないですね。

自己肯定感を持つことで、自分も他人も思いやれるようになるのですね。人として豊かに暮らすためにも、自己肯定感は必要なことがよくわかりました。

自尊感情や自己肯定感の高い子に育てる5つのポイント

保護者

ところで、どうすれば自己肯定感の高いお子さんに育つのでしょうか?私たち保護者は、どんな声掛けをしていけばいいのでしょうか?

保護者

難しいテーマよね。人の心の問題だから、単純に「AをすればBになる」というものではないし。お子さんを取り巻く環境や保護者との関係、周囲の人々とのかかわりなどでも変わってくるでしょう。

教室長

そうですね。東京都教職員研修センターが教職員のためにまとめたレポート(※4)が参考になりそうなので、それをもとにポイントにまとめてみましょうか。

保護者

お願いします!

教室長

全部で5つのポイントにまとめることができます。

① プラスの言葉で声掛けをする
② お子さんが自分の意見を言いやすい雰囲気や環境をつくる
③ だれかと比べない
④ 社会や家庭、学校でのルールを守ることの大切さを教える
⑤ 家族での生活を大事にする
順に詳しく説明していきましょう。

保護者

はい。

教室長

まず①は、個性を尊重するようなプラスの言葉を積極的に掛けましょう。そのためには、お子さんのよさを見つけて認めたり、お子さんの可能性を信じてはげましたりするポイントをつねに見つけられるように心がけてください。たとえば、「いつも部活動を休まないで、がんばっているね」とか「大丈夫、きっとできるよ」、「活動的で元気があっていいね」などです。失敗をするとマイナスのことをいってしまいそうになりますが、そういうときも責めないことが大事です。

保護者

「次がんばろう」とかでしょうか。

教室長

いいですね!そういう言葉を掛けてもらうと、自信がつくし、やる気が出ます。次に②は、お子さんの意見をまずは聞くことから始めましょう。

保護者

お子さんの意見や、やっていることが「違うな」と思ったときは、どうしたらいいのでしょうか?

教室長

頭ごなしに否定するのではなく、「どうしてそう思うの?」「どうしてそんなことをしたの?」と理由を聞いた上で、「こうじゃない?」「こうすれば、よかったのでは?」と別の考え方や方法を提示します。すると、自分で考えて反省したり、よく考えてから行動したりする力が伸びやすくなります。

保護者

③は、私、自信がないかもしれません。気をつけてはいますが、知らず知らずのうちに、きょうだいや友だちなどと比べていないとは言い切れません。

教室長

お子さん自身を認めてあげられるといいですね。だれかと比べて「あなたはできない」と評価するのではなく、「この前よりも○○ができるようになった」と本人の成長に目を向けるといいでしょう。

保護者

大人でも認めてもらえるとうれしくて、「もっとがんばろう」と思えるものですよね。

教室長

どんな人にもそれぞれにいいところがある、と気づけるような声掛けを意識してみましょう。「あの子もがんばっているのだな」と、他人を尊重したり認めたりする心が育ちやすくなります。

保護者

はい。ところで、④のルールを守ることと自己肯定感は、どうしてつながるのですか?

教室長

規範意識の高いお子さんは、ルールを破って叱られるという経験が少ないでしょう。つまり、否定されることが少ないので、自己肯定感が高くなりやすいのです。グループへの所属意識が高まることで、安心感が生まれ、自己肯定感が高くなるという面もあります。

保護者

なるほど。

教室長

お子さんが正しいことをした時にはほめて、いい習慣を伸ばしましょう。また学校や地域の活動への参加は、社会性を育てるのにいい機会です。お子さんが参加したがっているときは、なるべく支援してあげてください。学校で居眠りや遅刻を防止するために、規則正しい生活習慣を身につけさせることも大事です。

保護者

でも、思春期や反抗期のお子さんは、大人の決めたルールに反発することもあるんじゃないでしょうか?

教室長

そんなときは、どうしてルールがあるのかを話し合い、考えさせるといいと思います。

保護者

確かに自分が反抗期だったころも、一方的な押しつけだと反発したくなっていました。そのルールがある理由がわかると、納得して落ち着くことができていたように思います。

教室長

最後の⑤が大事なのは、お子さんの心の拠りどころが家庭だからです。親子で料理やスポーツ、読書などをしたり、映画や博物館などに行ったり、家族旅行に出かけたりなどの時間や機会を増やすといいでしょう。家族と一緒に過ごす機会が多いほど、「自分のことをわかってもらえている」「自分は愛されている」という気持ちが強くなり、自己肯定感が高い傾向があります。

保護者

わかりました。今日からできることを、1つひとつ積み重ねていこうと思います。

まなビタマンより転載

人間が生まれてくる大目的

一般的な自己肯定感の高め方を「まなビタマン」より転載掲載いたしました。

 

さてここからが本論です。

老若男女を問わず人間が持つ、いつも不安な心、いつまで経っても満足できない心、理由のない飢餓感、異性や他人から愛情を求める心・・・、これらの原因は、自分の心が仏性、神性(良心・母性)から離れているところにあります。

誰もが、本当の大きないのちから生まれ分かれて来た霊的な孤児なのです。私たちは、生き別れした母親を探して旅をするミツバチの子ハッチのように、母性を求めて人生の旅をしているのです。

 

人間が生まれてくる大目的は、生きている間に、自分の心にいる本当の母性(仏様)に出会うためなのです。自分の(良心・母性)に気づく深さが増すほどに、前記の飢餓感や欲求や自信の無さや不安はだんだん消えていきます。そして、いつも安心して得体のしれない自信が生まれ、運気が強くなります。まるで大きな母性に、いつも包まれた大安心状態でいられます。

ところが、これに気づくのが難しいのです。子育ては、親自身の母性を大きくして、親が自分自身の母性(良心・母性)に気づく霊的な行為です。育てられる子どもは、親から母性の片鱗を疑似体験する学びがあります。親も子どもも、ただの親子関係だけでなく、その先に各人が母性(仏様)を意識することがお互いの「いのち」のレベルでの本当の目的です。

 

要は、人間がこの世(娑婆世界)に生まれてくる目的は、自分に内存する仏性(仏様)に気づくことにあります。仏は遠くにいるのではなく、私の心の中に来て宿って下さっているのです。また、そのために森羅万象が流れる法則があります。だから時代時代の大きな流れに逆らわず、日常生活の中で自分の母性(良心)を意識する視点を持てばよいのです。そうすると、日常生活の色々なことが流れ出し、心の成長も早まります。

老若男女を問わず人は、自分の中に母性(仏様・良心)を意識することが大切です。意識しない物事は起こりがたいのが、この世の法則なのです。意識することが絶対に必要なのです。

 

仏教保育は、毎朝の仏参や、その都度その都度の仏事、または保育士からの道徳的なお話によって、子ども自身の心の中の母性を(仏様・良心)を意識していく保育です。子どものころから自分に内存する母性(仏様・良心)を意識した教育を受けると、その子どもが成人する頃には、愛情深い良い成人になれる可能性は高いです。

 

では、具体的にどんな教育が良いのでしょうか?

生き物や動物を育てるのは、とても有効です。そして、それらの死を体験することにより、この世の現実と肉体の儚さを認識していきます。

もう一つは、他人への「思いやり」「相手の立場に立つ」心を育てる教育が大事です。

 

今の学生が社会に出て何の役にも立たないことがあるのは、他者への思いやりの欠如が大きい面があります。

会社の仕事は、次の工程への段取りが大切です。自分の分担だけを終わらせる意識の自己中心的な人がいると、全体ではなく仕事が完了しないか、後で大きな問題が起こることが多々あります。だから、自分の仕事の後の人のことを考えた配慮ある仕事が大切なのです。

このような、思いやりの強い人や、大人になってそういった愛情深い仕事ができる人を育てていくのが「仏教保育」なのです。人は特に0歳から10歳までの環境や愛情や教育が、個々の心の土台を形成するためにとても大切だと言われています。

 

思いやり強い人達が多い会社や国は、発展します。売れる商品やヒントも「思いやり」からドンドン生まれます。思いやり→母性。つまり仏様の慈悲の心だからです。

だから、この国も「ゆとり教育」よりも、「思いやり強化の愛情教育」を推進していけば、社会で本当に役立つ、自己肯定感の高い、存在の自信と安心に満ちた人間を増やすことができます。とにかく子どもの教育にしても、この思いやりの心を徹底的に育てることが、その子どもの人生や運気に大きく影響する重要なことだと思います。点取り教育よりも、本当の優秀な頭脳を育成できると思います。

 

この日本から、思いやりの心を無くさないことが、国民や国の運命を左右していくと感じます。そのためにも、三つ子の魂百までです。小さな子どもたちの自己肯定感、思いやりの心を育む「仏教保育」の実践が、あなたたち一人ひとりの役割であり使命です。まず自分自身が仏さまの御心を意識して少しでも真似ようとして生きていくこと。思いやりのある日常生活と、園での仏教保育を実践していきましょう。