仕事をやっている人は
自分の仕事のやり方が
美しいか美しくないかの基準を持つことです。
自分が仕事に取り組んでいる姿勢、
電話のかけ方や取次ぎ、
応対の仕方、
コピーの取り方、
納期の守り方、
美しいか美しくないかはフォーム、
習慣にかかわってきます。
美しく仕事をする人は、
あらゆることを勉強します。
失敗、観察、成功、
すべての体験を通して勉強できるのです。
ただ「仕事をする」より、「美しくやる」
の自分の基準を持っていきましょう。
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お客さまより
おはようございます。
昨日はご連絡ありがとうございました。
さて、現在クリーニングを行って頂いている
「セリーヌ・フィービーデザイナー」コレクション画像が
一部ありましたので、送信致しました。
グレーのワンピースのイメージは、
写真のように前身頃ポケットあたり少々グラテーションが
ついてあり、こちらはこのデザイナーの味付けであり、
敢えてレトロ感を出していて「擦れ」ではありません。
なかなか一般的にご理解頂けない場合があり、
このデザイナーの服を好んで買ってらっしゃる方々
からの調査(当時のセリーヌスタッフ含む)によると、
「クリーニングに出したらコートの襟端に擦れが
あると勝手に修正されてしまった」などの
声を聞いています。
また、このデザイナーは裾や袖口のプレスに味付け
として、袖口のカフス芯を敢えてしっかり浮き出る
テイストでプレスして、下手くそなアイロンみたいに
しています。
これを、クリーニング屋さんがわざわざスチームを
しっかり当てて、普通のふっくらした袖口に直して
しまった苦情もセリーヌスタッフから聞いています。
服の仕上がりの常識を度外視したかのような仕上がりは、
フィービーファイロという世界中の女性に惜しまれ
退任したデザイナーのデザインの技であり、
一般的に「擦れ」「プレス下手」と勘違いされやすい
味付けなのです。
クリーニングを施す立場からは、やはり時代錯誤の
テクニックが見えないこともあり、基本的な仕上がりの
美学は正しい目線でありますが、その服がどんなプロセス
で作られたものであり、またそれをデザイナーの個性とし、
とことん拘る顧客にとっては、一歩間違えると残念な
結果をもたらします。
私の品物のうち、こちらのグレーのワンピースの色合いや、
ベージュシャツの襟先や、カフスはまさにデザイナーの味付
けとなります。
ここを必ずご注意、ご理解してお願いしたく思います。
期待しております。
宜しくお願い申し上げます。O
○様へ
はじめまして。
プレス職人の中川 守と申します。
プレス歴は60年。婦人服歴は30年。年齢は84歳に
なりますが、まだまだ現役で頑張っています。
代表からコメントをと言われましたので、
少しばかり私の見解をお伝え出来ればと思います。
一般的にクリーニング屋さんは、袖口、カフスや、
裾の芯地、縫いしろなどは浮き出た場合、アタリとして
嫌います。
つまり、デザイナーさんの意図が伝わってない限り、
必然的にアタリは直してしまいます。
それが常識だからです。
デザイナーさんの意図をお客様からお伝えいただけ
ないと一般的な仕上がりになってしまうのはいたしかた
ないと思います。
もしくは、受付のカウンタースタッフがこのような特殊な
デザインに気づいて、お客様の説明によってデザインを
共有できるかどうかはとても重要です。
弊社ではとてもこの「お客様との情報共有」をカウンター
スタッフや総合受付が意識しております。
さて、今回はお写真を送っていただき、ご説明もいただいて
おりますので、それに沿った整形プレスを行っていきます。
いずれにしても私たちは整形プレスでお役に立つのが
仕事なので、お客様の納得いくプレスを目指します。
尚、納得いかない場合は何度でも手直し致しますので、
どうぞお申し付け下さい。宜しくお願い致します。
プレス職人
中川 守
「燃えますねぇ・・」。
送られて来たモデルさんの「セリーヌ・フィービーデザイナー」
コレクション画像を見ながら
プレス歴60年、レディス専門でプレスをしてきた歴史は30年。
84歳の中川名人が(・∀・)ニヤニヤしてました。
いいですねえ~。
いつまでも一人の挑戦者としてお客様の期待に応えようとする
その熱い姿は。
生涯現役を地で行っている中川名人。
こちらもとっても気持ち良いワクワクの刺激をもらいます。
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●そして本日、O様より新しいメールが届いてました。
お世話になっております。
中川様のお仕事魂に感動致しております。
メールを拝見しまして思い出したことがあります。
それは、パリのメゾンHERMESの職人さんです。
卓越された妥協なき技術は、その究極なる「手しごと」にある。
中川様のアイロン技一筋なる技はも同様、
受けた服に魂を吹きこむ文化とも言えるでしょう。
そして、日々のたくさんのお客様の依頼品がある中で、
お客様ひとりひとりに誠心誠意で対応されるナチュラルクリーンの
資質には私自身が極めていた武道の根源にも重なるものと感じました。
中川様のような究極の職人さんにこのように嬉しいメールを
頂戴しまして、私の服にまだまだ時を重ねて袖を通して思い出を
刻んでいけるのだと嬉しくなり、そしてナチュラルクリーンという
強い味方が出来たことで服をしっかり活用させて日々着用できる
自由さを持てるようになると思います。
今後とも引き続き、どうぞ宜しくお願い致します。
O
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武道の根源ですかあ・・・。
良い響きであり、実に本質的な奥深いものを感じます。
プレスをすればするほど、心が空っぽになっていく。
心を空っぽにしていれば、いつも初心で物事が素直に見れます。
心を空にする。禅ですね。
そして立禅の、念仏の世界ですね。
すべてを忘れて真剣に目の前のプレスに取り組む中川さんは、
無意識下の力が働くのでしょうね。
中川作