合成繊維
動物や植物の原料を使用しないで、石油、石炭、天然ガス、石灰石を原料として合成した化学繊維。
合成繊維は20世紀中頃から実用化され、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリアクリルニトリル系を3大合繊といいます。
合成繊維の性質は、強く、軽く、暖かく、熱可塑性があり、カビや虫、薬品に抵抗性などのメリットがありますが吸湿性が低く、熱での収縮、伸び、溶解するものが多く、摩擦による静電気が発生しやすいデメリットもあります。
ナイロン
ナイロンは1935年アメリカで開発され、1938年商品化されました。
合成繊維としては最も早く、当時は「石炭と空気と水」から作られたナイロンは「くもの糸より細く、絹よりも美しく、鋼鉄より強い」といわれていました。
ナイロン(円形断面)
ナイロンは、アミド結合によって合成した高分子を紡糸して繊維化した” ポリアミド系 ”の合成繊維です。
ナイロン(異形断面)
ナイロンは、ナイロン6とナイロン66とが量産されていますが、耐熱性はナイロン66がすぐれ、染色性はナイロン6の方がすぐれていますが、他の性能に大差はありません。日本ではナイロン6が多く生産されています。
ナイロンは、熱に弱く、タバコやストーブなどで溶解しますし、日光やガスなどによる黄変がおこりやすいのが欠点です。
ナイロンの黄変は、漂白しても直らないことが多いです。
ストッキングや下着、スポーツ衣料、レインコートなどの衣料用品はもとより、自動車のシートやカーペット、安全ネット、釣り糸など産業用資材としても多く利用されています。
バリスティックナイロン
TUMIのバッグにも使われているバリスティックナイロンは、アメリカの化学会社デュポン社が開発したナイロンで、通常のナイロンの5倍の強度があると言われている繊維です。
実はこの生地防弾チョッキにも使われています!といっても銃弾を貫通させない生地と言うわけじゃなく、防弾チョッキはこの生地の他に金属やプラスチック、セラミックなどの素材を組み合わせたモノで銃弾を防いでいます。
とはいえ、摩擦や引裂などに対する耐久性は非常に強いし、耐熱性も優れているのでバッグや防弾チョッキなんかにも使われています。
ナイロン素材「ポコノ」
プラダのバッグに使われているナイロン素材「ポコノ」
ポコノとは本来工業用素材で、パラシュートやテントに使われており撥水性に優れ、機能的で耐久性も高く光沢感があることが特徴です。ポコノとプラダの出会いは、プラダのオーナー兼デザイナーのミウッチャ・プラダがミリタリー用で製造されたワークウエアを目にした事から着想を得てバッグの素材として採用されたと言われています。
1980年代はナイロンリュックが一世を風靡しました。