繊維の基礎知識
麻亜麻(リネン)、苧麻(ラミー)、大麻(ヘンプ)、黄麻(ジュート)
麻は、植物の茎から採れる靭皮(じんぴ)繊維と、植物の葉から採る葉脈(ようみゃく)繊維があります。
家庭用品品質表示法では、「麻」と明記できるのは、亜麻(あま・リネン)、苧間(ちょま・ラミー)の靭皮繊維のみだけで、衣類用に適しています。
亜麻の花
指定外繊維」と表示されている大麻(ヘンプ)、黄麻(ジュート)、インド麻の靭皮繊維とマニラ麻、ザイザル麻、ニュージーランド麻等の葉脈繊維は、ロープや袋等の産業資材に使われています
大麻の葉
麻の特徴
【麻のメリット】
麻は、衣料用として使われる亜麻、苧麻は、ともに中空で吸湿性があり、手触りは硬く、シャリ感があり、夏物衣料として市場にでています。
亜麻の側面
写真提供 財団法人 日本紡績検査協会
苧麻は涼感があリ、しなやかで麻らしい感触が特徴で、亜麻はやわらかく綿に近い風合いがあります。
麻は天然繊維の中で強度があり、高級衣料品としてジャケット、スーツ、婦人スーツ、ドレス等に使われています。
苧間の断面
写真提供 財団法人 日本紡績検査協会
【麻のデメリット】
麻は、綿よりも染色堅ろう度が弱く、日光、汗や洗濯による変退色がおこり着用や洗濯での摩擦により毛羽立ち(白化)がしやすいので、取り扱いには注意が必要です。
麻の繊維は表面が固く、染料が浸透しにくいため、一度ではきれいに染まりません。何度も繰り返し染めて、徐々に中の方まで色が入っていきます。
表面が擦れて毛羽立つと、染まっていない内側が見えるので白く見えるのです。
また、麻のジャケットは、着用を重ねると袖や背中などに深いシワが入ります。麻は「シワを着る」と言われるように、体に馴染んだシワを味わいとして楽しむのも一つの着方です。
麻は丈夫な素材ですが、シミ抜きする時は、気を使う繊維です。一つは、色抜けしやすく、取れにくいシミをちょっと強くシミ抜きすると、生地の色が抜けることはよくあります。
また、綿などに比べて、麻は漂白に弱く、厚みもあって丈夫な生地だからと高い熱をかけて、強く部分漂白していると、あっけなく穴が開いたりします。
白い麻のスーツなどは、きれいに汗を取っておかないと必ず黄ばんできます。シミや黄ばみがひどくなってくると強いシミ抜きが必要になり、リスクが大きくなりますから、早めの水洗いで大切に着ていきましょう。