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2015年 6月21日

「水洗いと洗剤」6/21(日)
クリーニング施設は全国で32,000軒ほどあるそうですが、そのほ
とんどはドライクリーニングが主体の施設で、ナチュラルクリーン
のように水洗いがメインのところは、実際のところ・・・技術的に難
しく、手間も時間もかかるので、全国ではほんの一握りです。

うちの会社にも、以前、別の大手ドライクリーニング工場で働いて
いたことのあるスタッフがいて、以前のドライ工場と水洗いのナチ
ュラルクリーンとの違いを、仕事をしながらよく話してくれます。

それによると、まず、工場全体にドライクリーニング溶剤の独特な
あの臭いがしないのが大きな違いで、一日中このドライ臭の中に
いると、頭が痛くなるということでした。

また、洗いあがった洋服のさわり心地がドライと水では全然違う。
ドライクリーニングだけだと、汗などが残っているためにどうしても
ベタついた感じがしますが、水洗いではサラサラッとしているので
とっても気持ちがいい。

そして、洋服を持った時の重さも水洗いしたものはいつもとっても
軽く感じるそうです。逆にドライのものはズシッと重かったと。

これについては、18年前うちの会社が水洗いを始めた当初、それ
までドライクリーニングをされてきたジャケットを水で洗う時に、洗
う前と乾燥後の重さを実際に測って、データを集めたことがありま
した。

その結果、平均で約5グラム軽くなっていて、ドライクリーニングの
前後で重さを測っても変化がありませんでしたから、これは、ドラ
イクリーニングだけでは落ちなかった汗などの水溶性の汚れが、
水洗いで落ちたために軽くなったということになります。それが、
着心地の軽さになっているわけですね。

当然うちの会社にもドライ機もありますが、それはあくまで皮脂や
油落としの前座であってメインではないわけです(スーツやコート
等はすべてドライ洗いをして水洗いを行います)。メインはやはり
水洗い。※素材やデザインによってはスポッター(前処理)で汗抜
きした後、シリコーンドライ洗いのみの場合もあります。

今日は、そんな水洗いをするときに使っているセレクト洗剤につ
いてご紹介しましょう。


ナチュラルクリーンではこれまで、オリジナルのものから市販のもの
まで、様々な洗剤を使ってきましたが、洗い上がりの質感の良さや、
香りの良さから、今回ご紹介するのは、最近水洗いでよく使っている
洗剤たちです。

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まず一つ目はブランド衣類の水洗いに使っているニューヨークの
「ランドレス」。
この「ランドレス」は植物性の原料を使い、排水後も生分解して自然
に戻り、動物虐待になる動物実験もしないというメーカーで、衣類を
ドライクリーニングしないで、家庭で洗おうということで洗剤や柔軟剤
を開発しています。

そして、商品は、様々な衣類に合わせて細かくラインナップされ、ソフ
トな洗い上がりに、心地よいほのかな香りが残ります。僕は個人的に
好きですね、嫌みのない大人の香りが。

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(ダークデタージェンドで洗ったブランドスーツたち。発色が蘇っています。)

一番左の「ダークデタージェント」は、色柄もの用で、多くの「ブランド
スーツ」などにはこれを使います。色落ちもしにくいですし、洗い上が
りのシワも少なく、袖を通した時にフッと香るクセのないクラシックな香
りもいいですよ。

2番目が「ホワイトデタージェント」。これは、白い衣類用の洗剤ですが、
白物用には珍しく、蛍光剤を含まない洗剤で、自然な白さを目指しま
す。白いウールやリネンの「スーツやシャツ」などに使っています。

3番目は香水の「ルラボ」の香りの洗剤。香りはもちろん、「色柄もの」
も冴えます。

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(しっとりした洗い上がりです。発色もキレイです。)

4番目の「デリケートウォッシュ」は、「シルク」などのデリケートな素材
用。香りはレディス用の「リッチアンバーとシトラス」の香りです。

そして一番右は、「ウールカシミヤシャンプー」。「ウールやカシミヤ」の
風合いを保つとともに、シダーの香りで防虫効果も併せ持ちます。

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そして「ユーカラン」「アッカパッカ」「オブリージュ」といった洗濯好きの
間で人気の高級洗剤。ジャケットやコートの「カシミヤやビキューナー」
をしっとりさせたり、薄っぺらくなった感じの「シルク」の厚みを回復させ
たりなど、素材に応じて使い分けています。香りがきつ過ぎず、ほのか
なのもいいですよ。

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左は、デニム専用の「デニムウォッシュ」。漬け置きしてデニムの色落ち
を防ぎ汚れを浮き出させる優れもの、柔らかくあらいあがります。

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真ん中は「スポーツデタージェント」で、スポーツ後の衣類の洗濯を考慮
して作られたもの。皮脂や汗の成分を分解し、弾けるようなリーフグリー
ンの香りでとっても爽やかです。ちなみに「ダウンやスキーウエア」等は
もっぱらこれを使っています。

そして右の「スポーツスプレー」は、汗の臭いをカットするスプレーで、少
し臭いのキツイダウン等には仕上げの時にこのスプレーを若干噴霧して
爽やかにします。

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この超高級洗剤のオブリージュは日本の染物屋さんと油脂メーカーが開
発した洗剤で、120mlで3,000円と、とっても高価ですが、シルクの洗い上
がりにはその価値があり、高いんだけどツイツイシルク品には使っています。

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「カシミヤのジャケット」には、生地の柔らかさと共に、ジャケットとしての
シルエットには張り感も要求されるため、ただ柔らかくなるだけの洗剤で
はだめですし、芯地は人体整形乾燥機に長くかけて、硬化剤も噴霧して
しっかりと整形します。

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「カシミヤの表面の質感」も本来の潤った艶感のある状態に戻っていき
ます。

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僕たちはいつもこういった洗剤を使っているので当たり前なのですが、
外から来た人や、他社のドライクリーニング工場から入って来られた人
は、人体整形の時の蒸気に乗って、香りが洗い場全体に漂い、スタッフ
が香りのシャワーみたいで気持ちいいととっても喜んでくれています。

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そして、地元限定で行っている一般衣類の「リーガルクリーニング」の
ウォータークリーニングでは、ヨーロッパで一番人気の「ドイツのヘンケ
ル」の洗剤を中心に使っています。

左端が「パーウルブラック&ダーク」。ダークカラーや色柄ものの毛羽
立ちを防いで色あせを押さえます。

2番目が「パーウルホワイト」。漂白剤を含まずに白さを保つ洗剤です。

3番目が「パーシルセンシティブ」。赤ちゃんの肌にも優しい洗剤で、右
端が「パーシルハイジーン」。除菌率99%の除菌剤で、汗臭いスーツを
洗う場合は、「パープルブラック&ダーク」にこの「パーシルハイシーン」
を加えて使用していますので、消臭抗菌力はバツグンです。

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こういった世界の有名ブランドの洗剤を使ってクリーニングできるのも、
うちが水洗いを中心で行っているウォータークリーニングだからこそです。

これらの洗剤をアイテム別にセレクトして、ここまでこだわって洗ってい
るのは他のクリーニング店では多分ないのではないかなぁ??

とにかくこういった洗剤にこだわった洗いを行っていると、一つ一つの衣
類により自然と細かく意識が向くようになるものです。また、何といっても
いい香りに囲まれてお仕事ができるのって、とっても気持ちがいいもので
すよ。

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ウォータークリーニングの品物が着いたら、ほのかな香りとアイテムごと
に蘇っている素材からのメッセージを五感で感じ取って欲しいですね。
(つづく)



12:22, Sunday, Jun 21, 2015 ¦ ¦ コメント(2)