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2015年 1月16日

「クリーニング事故賠償基準」1/16(金)
さて今日は3回目の早朝勉強会でした。
テーマは「クリーニング事故賠償基準」。


今日はちょっと専門的になりますが、うちのスタッフに伝えることを目的
に書いてるので、難しいのはご了承下さい。


クリーニングはクレーム産業だとよく言われます。実際、事故を起こそう
として起こす人はいませんし、最新の注意を払って取り扱っているつもり
でも、クリーニング工程中での過失や、受け付け、引き渡しでの確認不
足によるトラブル、また、品物の紛失など、大なり小なり様々な問題が発
生することがあります。

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これらの問題を解決する際の基準として、「クリーニング事故賠償基準」
という規定があります。


今回の勉強会では、この「クリーニング事故賠償基準」についてみんなで
勉強しました。


1.クリーニング事故賠償基準とは

クリーニング事故賠償基準は、クリーニング事故が発生した際、クリーニン
グ業者が行う賠償対応の基本となるもので、賠償額算定の基本方式や特
例、賠償額が減額になる場合や支払い義務の解除の条件などについて定
めています。

また、賠償基準の解釈の仕方や適用方法を解説した運用マニュアルもあり
ますので、今回はこの運用マニュアルを参照しながら、賠償基準の本文を
読み進めていきました。

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2、クリーニング事故賠償基準の制定

クリーニング事故賠償基準は、昭和43年に学識経験者、各消費者団体、弁
護士、流通販売業者、繊維業界、保険業界、行政(厚生省、通産省いずれも
当時)、クリーニング業界の代表者が集まって制定したものです。


3.クリーニング事故賠償基準の活用

クリーニング賠償基準は、業界の自主基準ですが、制定の過程から見ても、
多くの中立委員や消費者の代表者の意見を反映して作成されており、法律
(生活衛生関係営業の運営の適正化および振興に関する法律)に基づく「ク
リーニング業に関する標準営業約款」にも引用されるなど、中立と公平さは確
保されています。また、行政の消費者生活相談窓口でのトラブル解決がこの
基準に基づいて行われているほか、流通業界やアパレルでも活用されています。


3.賠償額の算定

賠償割合の算定は、一、「商品別平均使用年数」と二、「物品の購入時から
の経過月数に対応する補償割合」の2つの表に基づいて行います。
まず、対象となる商品の平均使用年数を調べます。この平均使用年数は、
物理的に使用できなくなるまでの期間ではなく、流行おくれ、着飽きる、似合
わなくなった、サイズが合わなくなったなどの理由も含めて使用をやめるまで
の平均的な期間をいいます。例えば、冬物のウールのスーツなら4年、ウー
ルのセーターなら2年となります。
  
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次に、平均使用年数に対応する、購入時からの経過月数に応じた補償割合
を読み取ります。この補償割合は商品の使用状況によって、よい状態のAラ
ンク、普通のBランク、シミ汚れや傷などがあって悪い状態のCランクの3段顔
に分かれています。
仮に、対象商品を購入してから15箇月を経過していたとすると、先程の平均
使用年数4年のウールのスーツなら、A : 82%, B : 72%, C : 63%となります。ま
た、平均使用年数2年のウールのセーターなら、A : 68%, B : 52%, C : 40% です。
このようにして補償割合を算出し、同等の商品を購入するのに必要な再取得
価格と掛け合わせて賠償額を出します。
この再取得価格は、バーゲン品などで、通常より低価格で購入されている場
合は、そちらの価格を適用します。
 尚、紛失などで商品がなく、価格の調査ができないため上記の算出ができ
ない場合は、クリーニング料金に基づいた以下の方法で算出します。

・商品がドライクリーニングによって処理された時は、クリーニング料金の40倍。
・商品がランドリーによって処理された時は、クリーニング料金の20倍。


また、この賠償割合は商品をクリーニングリーニング業者が引き取る場合のも
ので、賠償金の支払いと同時に商品を被害者に引き渡すときは、被害者の同
意を得て賠償額の一部をカットすることができる。


4.賠償責任の厳縮や免除

クリーニング業者の過失により事故が発生した場合、クリーニング業者は賠
償責任を負いますが、衣料メーカーなど他のものの過失により事故が発生し
たことをクリーニング業者が説明した時や、次の場合には賠償基準による賠
償額の支払いを免れることになっています。

・消費者が、洗濯物を受け取る時に洗濯物に事故が無いことを確認し、これ
を示す書面を交付した時。
・消費者が洗濯物を受け取ってから6箇月を経過した時。
・クリーニング業者が洗濯物を受け取った日から1年を
経過した時。
このように、賠償に応じるには、クリーニングをしてから申し出までの期間が
決められています。


また、クリーニングに出して90日を過ぎてもお客様の理由によって品物を取
りに行かなかった場合、受け取りの遅延によって生じた障害については、ク
リーニング業者は賠償責任を免れるとあります。
つまり、預けてから90日以上経っても取りに行かないと、受け取りの遅延の
間に変退色や虫食いなどが生じても損害賠償の責任がなくなるということです。

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以上、クリーニング事故賠償基準について、いくつかの重要な項目を抜き出し
てみました。まだまだ、細かく様々な状況を想定して基準がつくられています
が、今日の勉強会では、この基準の内容を自分たちが理解するだけでなく、
お客様にもお知らせして共通の認識とし、仮に何かあってもスムーズに解決
できるようにするためにこれからやっていくことを決めていきました。

もちろん何もトラブルが起こらないのが一番ですが、何かあった時の準備を
しっかりすることで、様々なことへの配慮ができ、トラブルも起こりにくくなる
のではと考えています。

という勉強会でした。まあ、面白くないわねえ。


生かしていただいて ありがとうございます。








10:19, Friday, Jan 16, 2015 ¦ ¦ コメント(2)


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